346 / 526

信じなきゃダメです 8話

◆◆◆◆◆ 碧からの連絡で返信するよりも、電話した方がいいと思い電話をすると2回目のコールで電話に出てくれた碧。 「もしもし」 の声がした後にもしかして西島と一緒なのかな?邪魔してるかな?と心配してしまった。 「碧ごめん、今、大丈夫?西島部長と一緒?」 「こんばんは星夜くん、ううん、ちひろさんまだ帰ってないから大丈夫です」 電話の向こうの碧の言葉にホッとする。 「じゃあ、少し話せる?」 「はい。それよりも身体は大丈夫なのですか?熱は?」 「ん、大丈夫……」 「本当ですか?元気ないみたいに感じますよ?」 「……これは体調不良とかじゃなくて……色々と考えちゃってそれで」 「色々……ですか?何かありましたか?」 「……俺、自分で思ってたより自分が弱いのに驚いてる……こんな事今まで感じた事も考えたりする事なんて無くて、ただ、自分に好意を持ってくれてる人の側にいるだけだったから、割り切った関係とかにしてて、離れて行っても気にならないし、また、次が来るだろうとか最低な事を考えてて、改めて自分が凄く軽い嫌な奴だったんだなって思って……」 斉藤は悶々と考える日々が続いていた。佐々木を好きになればなる程に過去の自分の恋愛に対する考えや態度が最低な気がしてきて落ち込んでしまっていた。 「星夜くんは最低じゃないですよ?僕は星夜くんは凄く優しくて気が利く人で温かい人だし、それに元気な人です!僕は人見知りしちゃうから星夜くんから声かけて貰って嬉しかったんですよ」 碧の声は少し幼さが残る可愛い声。それに心地よい声質で弱った心には温かさをくれる。 「ありがとう碧……ランチして話たかった事ってコレなんだ……聞いて貰うと引かれるかも知れないけれど、でも、碧ならちゃんと聞いてくれそうで」 自分ならちゃんと聞いてくれそう…… 斉藤のその言葉は碧を喜ばせた。 僕、そんな事言われたのは初めてだあ!!嬉しい!! そんなドキドキと興奮が交互にきた。 「ひ、引きません!どんな星夜くんでも星夜くんですから!!」 力を込めて言う碧。 「ありがとう、嬉しい…ゆうちゃんが最近、元気なくて、気付くと電話で誰かと喧嘩してて……凄く心配なんだけど、聞けないんだ……」 「佐々木部長ですか?……今日、出張でしたよね?元気ないのは心配ですね……どうしたんでしょう?」 「うん……でも、聞けない……聞いちゃいけないかも知れないし、あまりうるさく聞くと嫌われるかもとか考えちゃって……ゆうちゃんってほんと、怒らない人なんだ優しくて、俺のワガママとか笑って聞いてくれて、でも、あんな風にイライラして怒ってるのを見ると俺に見せないだけで、色々とあるんだなって、俺に対してもあるのかな?とか本当にバカみたいな事でクヨクヨちゃうんだ」 電話の向こうの斉藤の声は元気がないというよりは泣きそうな印象だった。

ともだちにシェアしよう!