348 / 526
信じなきゃダメです 10話
「うん……そうだね、きっと運命の相手だ。だから、不安になったりドキドキしたりするんだ」
「そうですよ!僕もちひろさんと居るとドキドキして楽しいです」
「碧は不安にならない?俺、不安になるんだ……ゆうちゃんにはもっと相応しい相手が居るんじゃないかとか、男同士だし……」
「なりますよ、だって、ちひろさんはカッコイイし、大人だし……僕には勿体ないって……でも、おじ、あ、祖父と祖父の友達に言われたんです、相応しくないって思うのは相手に失礼だって、自分が相応しくないとかダメだとか思ってしまうのは好きになってくれた人の好きな人を悪く言うのと同じだって、そして、相手の気持ちを信じなさいって、星夜くんもそうですよ、佐々木部長は星夜くんが好きですよ?星夜くん自身をダメとか相応しくないって思うのは佐々木部長の好きな人を悪く言うのと同じですよ?」
碧は大人だと感じた。
子供みたいな顔をして、自分よりもシッカリとしている。凄いなと思ってしまった。
「碧は強いな」
「ううん、僕は強くないです、ただ、ちひろさんが好きなだけなんです。大好きなちひろさんの事を考えると幸せになれて、それで、明日も頑張ろってなるだけなんです!星夜くんもでしょう?」
「……」
斉藤は考えた。
確かに佐々木の事を考えると幸せな気持ちになれる。
明日も頑張ろうって……なる!!
「うん、なる。なるよ!」
「佐々木部長を好きだから不安になるんです!信じなきゃダメですよ?佐々木部長も星夜くんが好きだって」
「信じる……うん、そうだね」
少し元気が出た気がした。
佐々木が自分を好きでいてくれると信じなきゃダメだ。
うん、信じてる。
不安になってしまったのは自分が合わないかもと思ってしまったから。もしかしたら、捨てられちゃうかもとか心のどこかで心配したのかも知れない。
「ありがとう碧、元気でたよ」
確かにそう言った斉藤の声は先程よりは元気を取り戻しているように思える。
「本当ですか?良かった」
「うん、じゃあ、俺、少し寝るよ、ゆうちゃんが帰ってくるまでに元気にならなきゃ」
「はい!そうしてください!」
「うん、お休み」
「おやすみなさい」
眠る挨拶をして電話を切る。
碧と話して元気になった。
顔を上げるとドアの所で恵が水が入ったペットボトルを持ち待っているのが視界に入る。
「あ、めぐちゃんごめん」
「いいよ、電話中だったからさ」
そう言うとペットボトルを渡す。
「飲めるか?」
「うん、大丈夫」
手にした水を一気飲みして、「めぐちゃん、やっぱりご飯食べる」と元気を取り戻して笑顔になる。
ともだちにシェアしよう!