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信じなきゃダメです 11話

◆◆◆◆ 西島が帰って来た時に出迎えてくれたのは諭吉。 「ただいま諭吉、碧は帰ってるだろ?」 玄関には碧の靴が綺麗に揃えられて置いてある。 「電話ばしよる」 「電話?誰と?」 家族とかな?なんて思う。 「斉藤だっけか?星夜って呼びよったけん」 「斉藤かあ……」 西島は靴を脱ぎ上がる。 「碧が電話ばしよるけん、ワシの飯が無かとばい、マグロ食べたか!」 「マグロ?マグロ買って来てない」 「マグロは碧が買ってきとる!早うマグロ!!」 諭吉は西島の足元をクルクル回る。 「あー!!もう、危ないだろう!」 諭吉を踏みそうで怖い西島は文句を言う。 「大丈夫ばい、ワシはネコやけん、簡単に踏まれん」 フンと鼻を鳴らす諭吉。 リビングへ行くと確かに話し声が。 そして、西島を運命の人だと話している話を偶然聞いてしまうのだった。 ◆◆◆◆ 斉藤との電話を切った碧。 直ぐ近くで香水の香りがした。西島がつけている香水…… ちひろさん帰ってる? と振り向こうとしたら、ふわりと抱き締められた。 「ちひろさん」 抱き締められた碧は西島の名前を呼ぶ。 「ただいま碧」 西島は抱き締めたままに言う。 「おかえりなさい」 可愛く笑う碧。 抱き締めてしまったのは運命の人だと言われたから。だから、思わず抱き締めてしまった。 こんな風に思っててくれて、それを言葉にしてくれる碧が愛しい。 「斉藤は元気になったのか?」 「えっ?あ、はい……電話聞いてたんですか?」 「うん、運命の相手だって」 その言葉を言われて碧は顔を真っ赤にさせた。 「き、聞いてたんですか?」 「うん、嬉しかった」 西島は腕に力を入れる。 「俺も……俺もそうだと思う。親と離れて辛い思いしても、碧がその先の未来に待っててくれてるって聞いたんだろうな、だから、俺は生まれて来たんだ」 「ちひろさん……」 碧は嬉しそうな顔で西島を見つめる。 「ありがとう、待っててくれて」 「はい……ちひろさんも……僕を見つけてくれてありがとうございます」 お礼を言って微笑む碧。 その可愛さに西島は唇にキスをする。 ◆◆◆◆ ベッドの上で何度も口付けを交わし、気付けば服は脱いでいた神林と此上。 時間を惜しむように言葉も交わさず愛し合う。 嫉妬した時の此上は激しくて……神林は嫌いではない。むしろ、愛されているのだと確認出来るので好きだ。 いつの間にかドMになっているな……なんて、自分でも思う。 「あっ!!」 いきなり後の孔に指を入れられた。 「俺に集中してよトオル」 中をかき混ぜながら此上は神林を見下ろす。 「集中……してますよ」 「いや、分かるよ、何か考えていた事……ずっと、考えてるだろ?まあ、考えさせないように快楽に持ち込もうとしているけどね」 自分の上で微笑む此上。 「千尋の事?それとも佐々木の事?」 「んんっ、」 質問しながら、奥に刺激を指先で送ってくる。この人はドSだ…… 「ちひ……ろが……もし、碧ちゃんと引き離されたら……ちひろも、跡取りでしょ?」 「千尋の事か……刺激されても名前出ちゃうのは妬けちゃうな」 此上はそういうと指を増やし、激しくピストン運動をさせた。 「あっ、やっ、あああ、」 ビクビクと神林の身体が痙攣する。

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