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信じなきゃダメです 14話

◆◆◆◆ 俺が反抗するの知ってるクセに!! 佐々木はイライラしながら歩く。 それでも言ってくるという事はそれだけ切羽詰っているのか本気で星夜との仲を裂こうとしているのか。 いっそ、縁を切ってくれた方がせいせいするのに。 ビジネスホテルへ向かう途中、「裕!」と名前を呼ばれ振り返る。 「よう!久しぶり」 ヒラヒラと手を振る身なりの良い紳士が立っている。 「あー」 佐々木は短く声を上げた。 名前を呼んだ相手は佐々木の叔父。 「面倒臭そうな顔するな」 叔父は笑って佐々木の側に歩いて来た。 「帰って寝ようかな?って思ってるんだけど?」 「まだ、何も言ってないだろ?」 「どうせ、飯行こうとか言うんだろ?」 「お前凄いなあ!当たり!」 叔父は軽快に笑うと面倒くさそう顔をしている佐々木を無理矢理、食事に付き合わせる。 佐々木は叔父の事は嫌いじゃない。むしろ、好きな方だ。 遊びにも連れて行ってくれたし、何より女の子の誘い方は彼に教わった。 昔は彼をヒロ兄と呼んでいた頃もある。 「相変わらず、反抗期だなお前」 テーブルを挟んで向かい合う。 好きなのを頼めとメニューを渡されたが食欲はあまりない。 軽めのものを……とメニューを見ていたらそう言われた。 「一生反抗期」 佐々木はメニューと閉じながらに言う。 「何食う?」 食う?の言う言葉で浮かんだんだのは出かける時に熟睡していた星夜の事。 あ……くそ、星夜抱きてえなあ…… 「あんま、食欲ない」 「んじゃあ、適当に頼むぞ」 「話聞いてた?食欲ないって言ったけど?」 「出てくるとお前食うだろ?」 そう言ってボーイを呼び注文をする。 その間も佐々木は星夜の事を考えていた。 熱上がってないよな?仕事行ったみたいだけど…… スマホを出してみると、ランプがチカチカと点滅している。 速攻で確認すると星夜からのLINE。 『 仕事、早退しちゃった!今、めぐちゃん(兄)のマンションに居るから心配しないで』 そんな内容。 ああ、熱上がったのか…… 『 大丈夫か?病院に連れて行って貰いなさい』 保護者みたいな返事を返す。 「噂の恋人?」 叔父に声をかけられて顔を上げる。 「噂?」 「そう!兄さんが言ってた……年下の男と同棲しているって」 「ふーん、ワザワザ話してんだ?」 「そう、ワザワザ話してるよ」 「見合いしろってさ」 「面倒くせえなあ、相変わらず」 叔父はクスクス笑う。 「ヒロ兄って……親父に何か言われて俺を食事誘ったんじゃないの?」 「違うよ?久しぶりに一緒に飯食いたかっただけ」 「ふーん、そっか」 佐々木はやっと笑った。 声をかけてきたのは見合いやら何やら色んな事を説得に来たのかと思っていたから。 「ヒロ兄、スパイかと思った」 「スパイ大作戦ってドラマ好きだったな……スパイになるの夢だったし」 「そう言えば昔、そんな事言ってたね」 「俺、会社務めも社長も窮屈だからな、本音は……お前もだろ?俺らは似た者同士だから」 「だね……ヒロ兄はリーマンとかじゃなくて、もっと違う何かになるんだと思ってたなインディジョーンズみたいな冒険家とか?」 「ああ、いいなあ……港、港に女を作って」 叔父と話すのが大好きだったのを佐々木は思い出した。 この人は本当にあの親父の兄弟なのか?というくらいに能天気でチャラかった。 自由気ままで、そのスタイルに佐々木は憧れた。 「早く帰りたいだろ?噂の恋人の元に」 「体調が悪いみたいでさ」 「えっ?大丈夫なのか?」 「うん……兄弟に見て貰ってるから」 「心配だな」 「うん」 佐々木はそう返事をして、星夜の事を考えていた。 ちゃんとご飯は食べただろうか?とか、熱はどうなのか? LINEの返事はまだない。 頭の中は星夜でいっぱいだった。

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