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信じなきゃダメです 15話
◆◆◆◆◆
「食事中はだめー!」
スマホを恵に没収された星夜。
「えー!!何でだよ!」
「食事が先だろ?食べたら返してやるから」
恵に注意され、星夜はあからさまに不機嫌そうな顔をして食事を始める。
くそおおお!!!ゆうちゃんめえええ!!
恵は嫉妬の炎を燃やす。
なんせ、佐々木から返事が来たと喜ぶ星夜が凄くいい顔していて、自分には見せない顔で、恵にも分かるような恋人に対する顔をしていたから。
あんな顔、恵にはもちろん、見せた事はない。
くそ!!って瞬時にヤキモチを妬いた。
その2人をニヤニヤしながら見ている妹、悠紀。
あーん、もう!本当に美味しいわ!!
いっぱいネタ出来ちゃうじゃないの!
そんな妹のニヤニヤと考えに恵は気付かない。
星夜は速攻で食事を済ませ、「めぐちゃん、スマホ返して」と恵に手を伸ばす。
「しょ、食事終ったら歯磨いておいで!それからでも、いいだろ?」
「えー!!なんだよう!めぐちゃんの意地悪」
星夜はムッとした顔はしたものの、ちゃんと歯を磨きに洗面所へと行った。
まだ、兄の命令は聞き入れてくれるようだ。
「めぐちゃんって露骨にヤキモチ妬くから見てて楽しい」
悠紀は食事を済ませた食器を重ねていく。
もちろん、星夜が放置した食器も重ねるとキッチンへと持って行く。
「後片付けするからめぐちゃんは星くんとイチャついていいよ」
手で払い除ける仕草をする。
恵は素直に星夜の後を追う。
「ほんと、美味しい」
悠紀はご機嫌に片付けを始めた。
「こら、ちゃんと磨け!」
洗面所に来た恵は雑に歯を磨いている星夜に注意する。
「めぐしゃんうるしゃい」
歯ブラシを口に入れているので上手く喋れない星夜。
「虫歯になったり、口臭したりするんだぞ?口が臭いとチュウして貰えないぞ!」
チュウして貰えないという言葉にピクリと反応する星夜。
は!!!そうだ!ゆうちゃんとキス出来ない!!
そう思った彼は素直に歯をきちんと磨き出す。
素直だよなあ……恵は星夜の反応に可愛さを覚えるが、まさか、キス出来ないのは自分とではなく大好きなゆうちゃんととは考えてはいない。
恵も星夜の隣に立ち、歯を磨く。
鏡に並んで写る2人。
恵は小さい頃の彼を思い出す。
何をするのも一緒というか、星夜が着いてきた。
一緒に寝る!!と泣いてみたり、お風呂もそうだし、歯を磨くのも一緒にしたがった。
凄く可愛くて、本当に本当に!星夜を可愛がっていたのに、見知らぬ男に後ろの処女を奪われ、心まで持っていかれている。
こんなに近くに居て、ずっと一緒に居ると勝手に思っていたのに……
「めぐちゃん、まだ磨くの?」
星夜の声に我に返った。
磨き終わった彼が自分を見ている。
恵も慌てて、口をゆすぐ。
「めぐちゃんスマホ!」
恵が歯を磨くのを待っていたのはスマホを返して貰う為……ちょっと、寂しい恵。
「ん、ほら!」
恵は仕方なく没収したスマホを返す。
「ありがとうめぐちゃん」
星夜はスマホを受け取ると嬉しそうに笑う。
くそう!!可愛い!!
可愛いけれど、他の男の為の笑顔。悔しすぎる。
そのまま、星夜は寝室へと行き、ベッドに座りスマホチェック。
「ちゃんとベッドに入れよ!熱上がるぞ!」
「ん!」
スマホから目を離さずにベッドに入る星夜。
恵も星夜の横にスルリと入り込む。
それを嫌がらないから、まだ、大丈夫かな?なんて心配してしまう悲しい自分。
星夜を抱き寄せて、
「また、熱上がるぞ?」
と自分が側に居る事をアピールする恵。
「めぐちゃん心配症」
「星夜が心配なんだよ」
「大丈夫だよ、小さい頃とは違うし、大人だよ?」
「俺にとってはいつまでも可愛い星夜なんだよ!」
弟なんだよ。とは言わなかった。
弟だとは思っていないから。
もう、ずっと、1人の男として見ているから。
◆◆◆◆◆
西島はベッドの中で碧をギュッと抱きしめていた。
何時もと変わらない光景なのだが、西島の中に不安があり、どうしても碧から離れられない。
食事は流石にテーブルを挟んで目の前に座ったが風呂はいつも以上にベッタリだった。
「ちひろさん、どうかしましたか?」
流石に碧もいつもの西島ではないと気付いている。
「ん?碧を充電してるだけだよ?ダメか?」
「ダメじゃないですよお!僕もちひろさん充電したいです」
碧もギュッと西島を抱きしめる。
抱きしめてきた碧の胸元に潜り込む西島。
潜り込んだ胸元に顔をすり寄せた。
碧の匂いがする。甘い匂い……何故だろう?安心する。
トクン、トクンと心臓の音も聞えてくるから、だからかな?不安が無くなるのは。
胸元に入り込んできた西島に驚いた碧だが……凄く可愛いと思ってしまった。
ちひろさんが可愛い!!!
あ、甘えているんですよね?僕に!!!
嬉しいです!!
碧は嬉しくて西島の頭をぎゅううう!と抱きしめる。
ちひろさんは部長だから僕より大変だもんね。色々と大変だって分かるもん!
こんな風に甘えてくれるちひろさんが見れるなんて、僕は嬉しいです。
嬉しい碧と必死に不安から逃れようとする西島。
どうか、碧が俺の側から居なくなりませんように!
碧が居ない未来なんて考えられない。
引き離されないように西島は願う。
もし、碧まで取られてしまったら……あの人をもう絶対に許す事なんて出来ないし、きっと死ぬまで恨んでしまうだろう。
どうか、そうなりませんように。
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