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信じなきゃダメです 18話

◆◆◆◆◆ 神林の所へ行くが彼は不在。 勝手に薬探すのも気が引けるので、とりあえず少し仮眠すればスッキリするだろうと上着を脱いでハンガーにかけた。 神林へメッセージを書き、机の上に置くとベッドを借りる。 カーテンを閉めてシーツの中に潜り込む。 少し寒気がしてきた……この部屋、クーラー入れてんのかな?なんて思ったが起き上がってクーラーを触る気力もない。そのまま目を閉じた。 ◆◆◆◆ 「あれ?斉藤くん出勤したの?休んだ方が」 碧と一緒に居る斉藤を見つけた神林は彼の元へと近づく。 「神林先生おはようございます」 ペコリと頭を下げる碧。 「おはよ先生、熱下がったから大丈夫ですよ?」 「おはよ碧ちゃん……ほんと?熱ちゃんと計った?」 神林は碧に挨拶をして、斉藤の手を取り脈を測る。 「ちょっと、医務室寄ってて」 「大丈夫ですよ?めぐちゃんといい、先生といい、心配症」 クスクス笑う斉藤。 「じゃあ、僕、先に行ってます!星夜くん、鞄持って行きますよ?」 碧は斉藤の手から鞄を取る。 「ありがとう碧。直ぐ行くから」 碧に手を振り、神林と医務室へ。 「あれ?先約いますよ?」 医務室のドアを開けると何時もはカーテンが開いてるベッドの場所がキッチリとカーテンが閉まり、上着がハンガーにかけてある。 「千尋みたい」 神林は机の上の紙に気付いた。 『 11時に起こして。西島』 メモの内容を星夜に見せる。 「寝不足になるくらいイチャついたのかな?」 ニヤニヤする斉藤。 でも、碧は元気そうで、眠そうではなかった。 「仕事持ち込んだりするからな、千尋」 神林はカーテンをそっと開けて、西島の様子を伺う。 シーツをかぶって丸くなっている。 あれ?こんな寝相だったけ? いつも、ここで仮眠してる時は普通に横になって寝ていた。寝顔可愛いなあ……なんて、密かな楽しみでもあったのだけど、シーツをスッポリかぶって丸くなるなんて……小さい子供みたいだ。 寝息が聞こえているので、眠っているんだと判断し、カーテンをそっと閉めた。 「熟睡してるみたいだから、多分、仕事持ち込んで徹夜してる感じ」 「西島部長真面目ですもんね、碧寝かせた後に仕事したのかな?」 「たまに無理するから……注意しとかないと」 「でも、神林先生がいるなら安心ですね西島部長」 「えっ?どうして?」 「先生だし、何でも良く知ってる。たまに良いなって思うんですよ、ほら、ゆうちゃんと神林先生と西島部長は学生時代からの友達でしょ?大人になってもこんな風に心配してくれる」 「斉藤くんもいるでしょ?」 「学生時代の友達はバラバラ……卒業すれば連絡も取り合わなくなりますもん」 「確かにね……そうなっちゃうね。俺達は特殊なのかもな……ほら、座って、診察するから」 神林は斉藤を椅子に座らせる。 喉の腫れていないし、脈も正常。 若いっていいなって思わずにはいられない神林。 そして、精神的はどうだろ?と思う。 佐々木の事で悩んでいる彼。 「悩みはどう?まだ、悩んでる?」 「えっ?あ……ゆうちゃん?」 斉藤は少し笑って、 「碧に、信じなきゃダメって言われたんです!運命の人に出会えたんだから、その運命の出会いを信じてって!だから、悩むの止めました!俺はゆうちゃんとの運命を信じます」 神林を真っ直ぐに見た。 「そっか……碧ちゃん、相変わらず凄いね」 「はい!碧に相談して良かったです」 「ふふ、そうだね。」 「じゃあ、戻ります」 斉藤は立ち上がる。 「あ、俺はね……碧ちゃんが千尋の側に居るから安心なんだ……俺よりも碧ちゃんが一緒に居る方が安心だ」 「確かに……そうですね」 斉藤も同意して、微笑む。

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