368 / 526

大丈夫です!側にいますから。 12話

◆◆◆◆ 「えっ?西島部長、熱出してんの?えっ?部屋に1人?」 碧に西島の事を聞いた斉藤は驚く。 「此上さんが看病してくれてます」 「えっ?此上さん!!!マジで?えっ?なんで?此上さんが?」 あれ?此上さんって神林先生の……?しかも、ちょっと、色々とあるっぽいのに?えっ?部屋に2人っきり? 斉藤の脳裏にはちょっとエッチな妄想が入りそうになる。 「偶然、会ったんだって……具合悪そうだったから病院連れて行ってくれて、ちひろさん、此上さんにお姫様抱っこされて帰ってきたから驚きました」 「お姫様抱っこおおお!!!」 驚く斉藤は声が大きくなる。よって、その場に居た人達から視線を浴びた。 「声、大きいです!」 「ごめん」 碧に怒られ謝る。 「此上さん体格いいもんなあ、凄いなあ!西島部長をお姫様抱っことか」 「はい……何か騎士と王子様みたいでした」 「騎士と王子様?なにそれ?」 「姉が読んでた漫画で、綺麗な王子様を騎士が守る話です」 「ん?それってBL?」 「びーえる?」 首を傾げる碧。 「男同士の恋愛モノだよ!騎士と王子様ってキスしてなかった?」 そう聞かれ、碧はうーんと考えて「あ、してました!!忠誠を誓うキス」と答えた。 「忠誠を誓うキス?手のひら?」 「えっと、口でした」 「何の忠誠誓ってんだよ」 斉藤はその漫画がBLだと確信した。 此上さんが騎士で西島部長が王子様……あーね、似合うね!!完璧に!! っていうか2人っきり大丈夫なのか? 此上さんは神林先生の彼氏だし、西島部長は碧にゾッコンだし……心配する事はないかな? あ、でも、病気の時って不安だよな?寂しいし。熱ある時の行動も何時もと違ったりするしさあ…… もしかして……熱にうなされて西島部長が此上さんを碧と間違えて抱き着いて……西島部長の色気に悩殺されたりして…… 汗ビッショリの西島部長を着替えさせる為に服脱がせて、欲望に負ける事とかありそうやん? 「いや!!」 嫌がる西島部長の服を無理矢理脱がせて…… 「色気があるお前が悪い……誘ってるんだろ?」 両手を押さえつける此上さん。 「さ、誘ってない……いや!!」 「嫌じゃないだろ?身体は正直だ」 西島部長のアソコを握っていかせる此上さん…… 「ああ!!!」 色っぽく喘ぐ西島部長に我慢出来なくて、大きくなったチンコを!!! 「あ!!!」 そのまま、激しく抱かれる…… 「あ、碧!!今すぐ帰れ!」 「はい?」 勢い良く肩を掴まれてキョトンとする碧。 「碧の分の仕事は俺がやるから!な?西島部長心配だろ?」 「心配です……」 「都合良く明日会社休みじゃんか!早退しろよ」 星夜の迫力に押され「は、はい!」と返事をする碧だった。 ◆◆◆◆◆ 「暑い……」 西島は暑さとだるさで目を開けた。 「……此上、喉乾いた……」 当たり前のように此上を呼ぶ。 でも、シーンと静かな部屋。 あれ?夢だったのかな?とさえ思えるくらいに静かだ。 西島はベッドから降りるとフラフラとキッチンへ。 「此上?」 名前を呼ぶけれど、返事はない。 洗濯がどうとか言ってた……西島は寝る前の此上との会話を思い出してベランダへ。 そこには洗濯物は干してあったが此上の姿はない。 仕事? そうか……仕事だよな。 西島はフラフラと寝室へ戻ってきた。 「ニッシー、大丈夫や?」 諭吉が心配そうに声をかけてくる。 「うん」 此上……そう言えばどうして居るんだろ?いつ戻ってきた? 昨夜は喧嘩して一番重要な事を聞いていなかった。 何故、あの場所に居たのか。 いつ、戻ってきていたのか。 あの場所……レストランに父親が居たのを思い出す。 そうだよ、あの場所に居ても不思議じゃない。あの人が居たんだから。 なんで?突然……? 碧……!!! えっ?まさか、碧との仲があの人に? そう考えると急に吐き気がして、洗面所へと急いだ。 その場で咳き込む。 咳のせいか分からないけれど、息が苦しい。 胸を押さえてその場座り込む。 ……なんで……息……苦しい…… 「ニッシー!!!」 諭吉が走ってきた。 諭吉……と名前を呼びたいが言えない。 「千尋!!!」 声がして、身体をぎゅっと抱きしめられた。 「ほら、ゆっくり息を吐いて……」 此上の声と、体温。そして、背中を摩る手の感触。 「大丈夫、ゆっくり……大丈夫だから」 此上の声と体温に安心した。 子供の頃みたいだ。 不安な夜抱きしめてくれた。 息が苦しくなった時も今みたいに……。 次第に息が苦しくなくなってきて、少しづつ呼吸が出来るようになった。 すると、身体がフワリと浮いた。 此上が抱き上げているんだって、分かったけれど文句言う元気もない。 ベッドに降ろされて、横になると大分マシになった。 「息出来るか?」 頷く西島。 「そっか」 此上に頭を撫でられたが、嫌じゃなかった。寧ろ、安心出来た。 「病院行くか?」 西島は嫌だと首を振る。 「だろうな……病院嫌いだからなお前」 知ってるなら聞くな!!と言いたかったが言う元気はない。 「水、飲むか?」 聞かれて頷く西島。 立ち上がって水を取りに行こうとする此上の服の裾を咄嗟に握った。 「なに?」 振り返り西島を見る此上。 「……ここに……いて……」 西島はそう呟くと目を閉じた。

ともだちにシェアしよう!