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人って温かいんですよ?

◆◆◆◆ 「碧ちゃん!!」 此上が様子を見に来て泣いている碧を見つけ驚く。 「どうしたの?」 側に行き、理由を聞く為に側にしゃがむ此上。 「子供のちひろさんが……」 碧はそう言って泣き出した。西島の事を考えると寂しかったのかな?とか辛かったのかな?とか考えてしまって心の中では感情を抑えきれなくなって、泣いてしまったのだ。 「碧ちゃん、こっちおいで」 此上は泣いている碧の手を引いてリビングに連れて行く。 「えっ?碧ちゃんどうしたの?千尋に何か?」 泣いている碧に神林も驚く。 「千尋は寝てるから大丈夫だと思う、トオル、碧ちゃんにホットミルク作ってあげて」 此上は碧をソファーに座らせると神林にそう言った。 「はい!ちょっと待っててね碧ちゃん」 神林は冷蔵庫から牛乳を取り出すとマグカップへと注ぐ。 「ワシも!!ワシもミルク!!」 牛乳に反応した諭吉は神林の足元へと走って来た。 「何?諭吉、ご飯はさっき食べただろ?」 「違うばい!ミルク!!」 諭吉の視線が牛乳にあると気付く神林。 「牛乳好きなの?あ、猫用のミルクあったな」 神林は牛乳を冷蔵庫に戻すついでに猫用のミルクを取り出した。 「諭吉は猫舌だもんな、少しだけ温めような」 神林は諭吉にもミルクを用意してくれた。 ◆◆◆◆ 「で、どうしたの?子供の千尋って?」 此上は碧の横に座り、優しい口調で泣いていた理由を聞く。 碧は西島が寝惚けて言った言葉を話した。そして、諭吉に聞いた事をこんな感じなのかな?と自分の感じた事だと偽って話した。 猫が話したとは言えないから。 「そっか……千尋、そんな事言ったのか」 頷く碧。 「碧ちゃん鋭いね……付き合い長い俺より理解してる」 此上は頭を撫でる。 「千尋は気持ちを隠してしまうから……聞き出すのに苦労してたよ……でも、碧ちゃんなら上手く聞き出せそうだね」 「えっ?」 何を?と碧はキョトンと首を傾げる。 「碧ちゃんが心配するといけないから言わなかったけれどね、千尋の熱は多分、ストレス……小さい頃からの癖なんだ。我慢ばかりして心と身体が悲鳴あげてる。ストレスを感じると高熱を出してね、酷い時には入院までしてた」 ストレス……ちひろさんのストレスって何? 考えても分からない。 「ちひろさん……ストレスって、お仕事?」 それは西島が上司だからと碧の考え。責任が重い仕事。 「違うと思う。それを碧ちゃんに聞き出して貰いたい。原因が分かれば対処出来るし、千尋の心も軽くなる」 此上の言葉に自分に出来るのだろうか?と悩む。 「碧ちゃん、ホットミルク」 考えていると神林がホットミルクを持って現れた。 「ありがとうございます」 碧は受け取ると少し口にする。 甘い蜂蜜の味がした。 「で、どうして泣いてたの?」 神林の問いかけに此上が説明をしてくれた。 「ああ、そうか……確かに碧ちゃんなら、千尋も心開きそうだもんな」 「僕……役に立ちますか?」 「うん、碧ちゃんにしか出来ない」 「僕にしか?」 「そうだよ、心を見せる事を碧ちゃんにはしてるから」 此上は碧に微笑む。 碧もその微笑みに釣られ微笑む。 「はい……僕、手伝います」 「うん、ありがとう……千尋の心を軽くしたい……安心させてあげて」 「はい!」 頷く碧。 「あの、此上さん、ちひろさんって子供の頃どんな感じだったのですか?」 碧は西島の子供時代を聞いて、せめて……その寂しさを共有したいと思った。 ちひろさん……僕がずっと側に居て寂しくないようにしてあげたいです。 碧は自分に誓う。

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