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人って温かいんですよ? 8話

「なるほど……何か考えている感じだったのはそんな事を考えていたからか」 此上は神林の腕を引っ張り自分の方へ引き寄せるとそのまま腕の中へ。 「だ、だって」 腕の中で慌てる神林。今、碧が寝室から出てきたらと緊張する。 「確かに千尋は綺麗な子だったからな……でも、初めて会ったのは小学生だぞ?」 「成長過程でですよ!高校生の頃とか……ほんと、アイツ、すごい人気あって……女の子はもちろんだけど、男にも人気あったし……」 「モテてたのは知ってるよ、バレンタインとかチョコ凄かったから」 「そんな千尋の側に居て何も感じなかったのかな?って」 「……もし、トオルが今の年齢で幼い千尋に会った時、どんな感情抱く?」 「へ?……今の年齢で?……今の年齢なら恋愛対象では見れないです」 「見れないだろ?なら俺もそう……あの子に出会った時持っていた感情は親みたいな感情だよ。この子を守りたいとか幸せしたいとか……本当にね、千尋を全力で守りたいと思った、あの子に必要だったのは友達とか恋人じゃない信用出来る大人……守ってくれる大人……きっと、トオルも子供の頃の千尋に出会ってたら同じように彼を守りたいって思うよ」 なるほど……と思った。 自分は恋愛対象として見れる年齢で出会って、一緒に成長してきたから……そんな目でしか見れなくて、もし、昔の千尋に会ってたら……どうなっていただろう?恋をしたかな? 神林は此上の胸に顔を埋める。 ちょっと自己嫌悪。 どうしても、そっちの方でしか見れない自分が嫌。 此上が自分を好きだという言葉を信じているくせに疑うような気持ちが1ミリでもあった事が情けないというか悔しいというか……なんか、落ち込む。 「千尋から大胆に迫られた時はまあ、ドキドキしたな……色気あるからなアイツ……違う出逢いしてたら手を出していたかもな」 「ちょ!!!」 たった今、反省したのに!!と顔を上げたらキスされた。 「スキあり!」 ニヤリと笑う此上にああ!!また、やられた!と悔しくなる。 「ヤキモチ嬉しいよトオル」 「ヤキモチじゃ」 「違うの?」 聞き返されて、「違うくないです」と返す。 すると、ぎゅっと力強く抱きしめられた。 「俺はね……これからも千尋に何かある度にこうやって彼の元に来ると思う。守ってやるって約束したから……でも、それは義務という愛情で恋愛感情じゃない……親代わりだ」 「ごめんなさい」 神林は素直に謝った。ヤキモチ妬いた自分に対しての謝罪。 「謝るな」 此上は優しく微笑む。 「これから先も好きなのはトオルだけだから」 その言葉に神林は顔を真っ赤にする。 「本当に君は相変わらず可愛いね……襲いたくなる」 「だ、ダメですよ!俺、声大きいし」 「襲われる気満々?」 此上は体勢を変えて神林を組み敷く。 「ちょ、ダメだってば!」 此上の下で抵抗する神林。 「大きい声……出すと碧ちゃん来ちゃうよ」 耳元で囁くとそのまま耳朶を軽く噛む。 「や……」 出そうになる声を我慢するように両手で塞ぐ。 「いい子だなトオル……そのまま我慢して」 此上は神林のシャツをたくし上げる。 「……んっ」 此上の愛撫が始まった。 ◆◆◆◆◆ 西島は音を立てないように浴室に居た。 明け方、目が覚めて隣に碧が寝ていて和んだがどうも自分が汗ばんで気持ちが悪い。 熱も下がったっぽかったから風呂に入ろうとお湯をため、さあ!入ろうと服を脱いでいる途中でいきなり、脱衣所のドアが開いて驚いて振り返った。 「千尋、お前何やってんだ」 此上が眉間にシワを寄せて西島を睨んでいる。 「えっと……風呂?」 思わず疑問形で答えた。 「俺が聞いているんだよ」 「汗ばんで気持ち悪いから風呂入ろうかと」 「熱あるのにか?」 そう言いながら此上がジリジリと寄ってくる。 「ないよ……うん、ない」 西島も後ろへ下がる。 「本当に?」 後ろへ下がるが腕を掴まれ、そして、コツン……と西島の額に此上の額が当てられた。 「!!!!!」 声にならない西島。 「熱いけど?」 「あ、熱いけどじゃない!なんて計り方してんだよ」 「あ?前はこうやって計ってただろ?」 「子供の頃だよな?それ!」 「お前、中身成長してないから大丈夫」 「全然、大丈夫じゃない!」 西島は此上の腕を払う。 「とりあえず、お前、ベッドに戻れ」 「やだ!風呂入る」 「あっ?」 ギロリと睨まれた。でも、そんなの慣れている。 「俺の勝手だろ!ほら、もう、出ていけよ」 西島は此上を追い出そうとするが身の軽さは此上が上で、あっという間に此上に捕まり肩に担がれてしまった。 「ふざけんな!」 文句を言う西島。 「千尋うるさい!碧ちゃん起きるぞ」 そんな西島の声を遮るように神林が登場した。

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