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好きな人を守る騎士になりたいです。2話
◆◆◆◆
専務達に佐々木を無事に連れて帰って来た事を告げると喜んでくれた。しかも、佐々木が望むなら、会社に復帰しても良いと伝えて欲しいとまで言われたのだ。
退職届けは受け取っていない事になっていた。
きっと、佐々木は喜ぶ。なんせ、無職を気にしていたのだから。
「スーツ、クリーニングに出して返しますね」
専務にそう言うと。
「西島君にあげるよ」
と言われた。
「えっ?貰えませんけど?高いですよね?」
「ふふ、実は私が若い時に着ていたスーツなんだよ!西島君に似合うなって思って……私にはもう若いデザインだから着れないんだ、タンスの肥やしも勿体ないし、私には息子も居ないなので、良かったら貰ってくれないか?」
「でも」
「お姉さんの結婚式に着たら良いし、凄く似合うし!いいと思うよ?」
ニコニコ微笑む専務。
この人の人懐っこい笑顔は断れない感じがして、西島も「ありがとうございます……本当にいただいてよろしいのですか?」と承諾してしまう。
「もちろんだよ」
嬉しそうに笑ってくれるので、有難く頂く事にした。
礼を言って部屋を出た。
「に、西島部長!!」
西島を目ざとく見つけたのは人事部のスタッフ。
「佐々木、会社復帰しますよ、きっと!」
ニコッと笑顔で言うと、パァ~と顔が明るくなった。
凄く嬉しそうで……佐々木の人気は凄いなと確認。
「本当ですか?良かった!西島部長が色々として下さったんでしょ?ありがとうございます。皆、喜びます」
深々と頭を下げられた。
「いえ、俺は何も……本当に何もやってないです。でも、良かった」
西島は微笑む。
本当に良かったと思う。
居なくなって偉大さに気付くってやつかな?なんて、笑ってしまった。
◆◆◆◆
「碧ちゃん、大丈夫?」
まだ、泣いている碧を心配する神林と此上。
「はい~すみませんんん!」
ハンカチがびしょびしょで、タオルがいいかな?と思う。
「碧、ワシば出せ!」
鞄から諭吉の声。
ニャーニャー聞こえたので「えっ?諭吉?」と神林は驚く。
「あ、諭吉!」
碧と此上の声がハモる。
碧は慌てて諭吉を鞄から出す。
「ほお、こいが碧の仕事しよる会社や」
諭吉は鼻をヒクヒクさせ臭いを嗅ぐ。
「諭吉、何でいるの?」
不思議そうな神林。
「星夜くんが癒されるかな?って」
「なるほど……諭吉は癒されるもんな」
神林は諭吉を抱き上げると「ミルク飲むか?」と聞く。
「おお!!神林、気が利くな!飲むばい」
ニャーニャー騒ぐ諭吉。
「こ、こら、諭吉、騒がないで」
碧が慌てる。
「本当にすみません」
「いいよ、諭吉可愛いから」
謝る碧に微笑む神林。
丁度、ドアが開き、碧の部署のスタッフが入ってきた。
「猫?」
驚くスタッフと慌てる碧である。
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