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好きな人を守る騎士になりたいです。4話

「佐藤くん……諭吉の事知ってるの?」 専務の質問に碧はもうダメだと思った。ああ、お父さん、お母さん、僕……1年も経たずに会社首になる……ごめんね。 「す、すみません!!僕の、僕の猫なんです!直ぐに連れて帰りますうう!」 頭を何度も下げて謝る碧。 「僕の猫?あれ?西島くんが飼っている猫じゃないの?」 不思議そうな顔をする専務。 その時ようやく、西島が側に居ることに気付いた碧と、しまったあ……と思う西島。 2人とも固まる。 ち、ちひろさんが居る……ちひろさん、諭吉を自分の猫って言って庇ってくれたんだ……どうしよう!!! 碧は事の重大に気付いた。 首になりそうだし、西島にも迷惑がかかる。碧はもうパニックで涙目。 西島は碧が固まって涙目なのに直ぐに気付いた。 「僕の……僕の猫で……あの、僕のアパートで飼えないから……あず、預かって貰ってて……その」 ああ!!こんな言い訳じゃちひろさんに迷惑かけてしまう。なんで僕は上手い言い訳を言えないのかな?ちひろさん、ごめんなさい。 「そうなの?」 専務は碧を見てニコッと微笑む。 「すみません、専務!諭吉、直ぐに連れて帰るんで」 西島は碧の前に立つ。 不安そうな碧を大丈夫だと安心させる為に。 目の前に西島の背中。まるで庇うように。 それだけでどうして、こんなに安心するのだろうか? 碧はつい、西島の上着の裾をぎゅっと掴む。 「直ぐに連れて帰らなくてもいいよ?可愛いし」 ふふっと笑う専務。 スーツに毛がつくのも気にしない感じで諭吉を抱き上げると立ち上がった。 「また、連れておいでよ、オヤツ用意するからさ」 オヤツ用意するから!その言葉に諭吉の目がキラリと光る。 「何?オヤツとな?マグロか?マグロやろ?」 専務の顔を見上げてオネダリ。 あああ!!馬鹿諭吉いいいい!! 西島は頭を抱えたい。そんな状況で碧は諭吉いい!!マグロとかあ!!もう!!と泣きたい状況だった。 「えっ?マグロって言った?凄いね?マグロって言えるんだ?」 「おお、そうばい!マグロ美味い」 「あはは、凄いねえ、マグロ美味いって聞こえる諭吉はおりこうさんなんだねえ」 馬鹿諭吉、やめろ!西島はハラハラしている。 「じゃあ、リクエストに応えてマグロ用意しておこうかな?」 ニコニコと笑う専務。 「おお!!良か奴やな」 すっかり御機嫌な諭吉。 専務は碧に諭吉を渡すと「また、連れておいでよ、ウチの会社は別に猫禁止じゃないからさ」と微笑む。 「は、はい!すみません」 諭吉を受け取り頭を下げる。 「あ、諭吉の毛が」 専務の高そうなスーツには諭吉の毛がついていて、碧は慌てる。 「気にしないで、久しぶりに猫触れた」 ニコニコと笑う専務に緊張が少しづつ取れてきた碧。 「ところで西島くん……お見合いの話」 専務の切り出した話に緊張が取れてきた碧はまた、固まってしまい、心拍数が一気に上がった。

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