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好きな人を守れる騎士になりたいです。 13話
◆◆◆◆◆
腹減ったな……。
佐々木は斉藤に腕枕をしてガッチリと抱き込んでベッドの上で横になっている。
散々セックスをやりまくった。
会えなかったのはほんの数日なのだが、何ヶ月も会えなかった……そんな感覚に陥っていたのだ。
斉藤も同じだったようで、佐々木を欲しがった。それはそれは可愛くて悶え死ねるくらいに。
ユウちゃん!ユウちゃん!!と名前を何度も呼んで、ユウちゃんでいっぱいにして!!なんて可愛くおねだりもされた。
おかげで失神するまで抱いてしまった。
「やりすぎたかな……」
佐々木は眠る斉藤の髪にキスをする。
可愛いんだから仕方ない。
彼を起こさないようにそっと起きるとベッドから降りる。
「ちょっと、飯作ってくる」
斉藤の頬にチュッと軽くキスしてベッドから離れた。
佐々木はキッチンで2人分の料理を作り始めるが、ふと、バイブする音が聞こえてきた。
音はソファー辺りから聞こえる。あ、そっか、電話が父親からかかってくるかもってソファーに投げていたんだ。と思い出しソファーへ。
スマホを手にすると着信がハンパなかった。
今、鳴らしていたのは叔父だったのでかけ直す事にした。なんせ、迷惑かけている。
数コールで出てくれた。
「よお!無事に恋人に会えたか?」
モシモシよりも先にそれだったので、佐々木は笑ってしまった。
「うん、無事にプロポーズもしたよ」
「そっか、良かった」
「色々ありがとう」
「いいよ、千尋くんと護衛のイケメンくんにも礼は言ったか?」
「言ったよ、まさか千尋が来るとは思わなかったけどね」
「色っぽく育ったなあの子」
「何?狙ってるなら止めた方がいいよ、溺愛中の子がいるかし、此上さんが怖い」
「あはは、脅されたんだっけな?お前」
過去、酔った西島に悪さをしようとして失敗し、此上に怒られた話をしていた。不思議と叔父には色々と話せるのだ。
「そう!怖いからな、あの人……あのさ、どうしてる?」
「兄貴?」
「縁切ってやったけどさ……まあ、色々と俺に金かかってたわけじゃん?」
小さい頃は可愛がってくれていた。
旅行も行ったし、忙しいのに時間を作って遊んでくれた。それが自分の成長と共に変な方向へと行ってしまった……思春期特有の……といえば聞こえがいいけれど、複雑にしてしまったのは自分。
会社経営にも向いてないし、折角大きくした会社を自分が潰すのはしのびない。
「お前は優しい子だよな……兄貴もさ、ユウに全部残してあげたいだけなんだと思う、まあ、あの人は俺みたいに器用じゃなくて不器用だからな、思春期のユウをどうして良いか分からずに俺に相談してきてたから」
クスクス笑いながらに言う。
相談とか……。そんなの知らなかった。
「もしかして、高校時代にやたら俺に構ってたのって」
「1人暮らしさせてただろ?そりゃ心配に決まってるだろ?未成年なんだからさ」
何言ってんの?お前、みたいに返された。
「なんだよもう、結局は手のひらの上でなんとかってヤツかよ」
「それに、結婚発表とか周り騒いでたみたいだけど、周りが騒いでただけで、後継者として紹介したかっただけみたいだしな」
「は?何それ?」
佐々木はその言葉で力が抜けたようにソファーに座った。
「俺もそうだとばかり考えてさ、逃がしてやろうと頑張ったんだけどさ、結婚相手とか会場に来て無かったから、兄貴に聞いたら、そう言われた」
何ですか……ソレ?と笑いたくなった。
佐々木もそうだと思っていた。無理やりどこかの令嬢を連れてきて、結婚しろ!と言われるのかと……。まあ、良く考えればいつの時代だよ?平成だぜ?と思うし。
「兄貴にガッチリ怒られたよ」
「あ、そうだよね、ごめん」
「いいよ、それより結婚式には呼べよ」
「うん」
結婚式か……そうだな。星夜を喜ばせたい……
「あのさ、その結婚式なんだけど……」
話を切り出す佐々木だった。
◆◆◆◆
「ん……」
斉藤は寝返りを打って目を覚ました。
「ユウちゃん……?」
薄らと目を開けた視界に佐々木が居ない。
えっ?ユウちゃん?
斉藤は慌てて起き上がった。
夢だった?
部屋中見ても彼の姿がない。
佐々木が帰って来て抱き締めてくれて……そのまま……セックスしたはず。なのに……
佐々木はベッドから降りるが力が抜けてペタンとそのまま床に座り込んでしまった。
立てない……?あれ?
脚に力が入らないのだ。
立てないのもあるし、佐々木が居ないのも悲しくなり、「ユウ……ちゃん……」と涙がポロポロと零れてきた。
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