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好きな人を守れる騎士になりたいです。 14話

脚に力が入らないから這ってでも探しに行きたい…… 「ユウ……ちゃ」 泣きながら這って移動しようとしたら「星夜!」と佐々木の声。 顔を上げると佐々木が自分を見ている。 「ユウちゃんんん!!」 泣きながら佐々木に両手を伸ばす。 「どーした?」 心配そうに抱き締める佐々木。 「おき、おきたら……いないから」 しがみついて子供みたいに泣く斉藤。 その言葉にああ、そうか……!ずっと不安だったし淋しかったのだと分かる。 「ごめん、良く寝てたからさ……飯作ってたんだ」 佐々木はぎゅっと抱き締めて謝る。 「歩けないの」 ぐすぐす泣きながら言う斉藤が可愛く見えて、笑って髪にキスする。 「俺が乱暴に抱いたからだな、ごめん」 佐々木はベッドからシーツを取ると素っ裸の斉藤の身体を包む。 「あれ、夢じゃなかったんだ……ユウちゃんといっぱいエッチしたの」 涙でボロボロな顔で佐々木を見る。 「うん、夢じゃねーな!立てないだろ?」 佐々木はそう言ってお姫様抱っこして、立ち上がる。 「そっか、夢じゃない」 ぎゅっと首筋に抱き着く。 抱き着くと体温を感じれるし、匂いも。 夢じゃなかったとやっと実感できた。 佐々木は料理が出来たので斉藤を起こしに来たのだ、そこで床に座り込んで泣いている彼を見つけて慌てた。 泣いている理由が自分が居ないから……なんて可愛くて愛しいのだろう? 彼を椅子に座らせる。 「腹減っただろ?」 「うん」 包まれたシーツから手を出して、気付く。 指輪……。 自分の指に指輪がはめられている。 さっきは佐々木が居ないというのがショック過ぎて指輪に目が行かなかった。落ち着くと周りが見える。 じっーと指輪を見ている斉藤に気付き、「どうした?」と聞く。 「えへへ、指輪」 幸せそうに笑う斉藤。 「星夜は……本当にいいの?俺と一生過ごさなきゃならないんだぞ?オッサンだし」 「ユウちゃんはオッサンじゃないでしょ?俺と5~6歳しか違わないじゃん!」 「まあ、俺がオッサンなら千尋もオッサンっていう事になるしな……アイツは大学生みたいに見えるし」 「でしょ?ユウちゃんも若いよ?それに俺こそいいの?だって、ユウちゃん……家」 斉藤は途端にしょんぼりとした顔になる。 「星夜がいいって言っただろ?」 佐々木は微笑むと星夜の横に行き座る彼を覆い被さるように抱き締める。 「愛してるよ星夜」 耳元で囁かれる。 泣き止んだはずの彼がその言葉でまた泣き出す。 「俺も……あいしてるうう」 ぎゅっと抱き着く。 「星夜が居れば本当、何も望まないよ、毎日一緒に色んな事が出来れば満足なんだ……家とかどうでもいい」 「ユウちゃん」 「でも、星夜のご両親にはちゃんと挨拶に行くからな」 「親……アメリカだよ?」 「パスポート持ってるよ」 「いや……そういう事じゃなくて……」 斉藤は佐々木を見つめる。 「有給残ってるだろ?」 「うん」 「パスポートは?」 「ある」 「じゃあ、チケット取れたら直ぐ行こう」 「は?」 「星夜の両親に会いに」 「まじ……ですか?」 斉藤は目を見開く。 「まじですよ?」 「ユウちゃんって行動力あるね」 「あるさ、星夜の為ならね」 「スパダリ」 「なにそれ?」 「ユウちゃんみたい人の事だよ」 斉藤はそういうと佐々木にキスをした。 ◆◆◆◆ 早朝、西島のスマホが鳴る。 「んーっ」 碧を抱っこしたままにスマホを探す西島。 「ニッシー、電話はここばい」 諭吉がストラップをくわえて、スマホを西島の手元に持って来てくれた。 「ん、ありがとう諭吉」 西島が電話に出ると「もしもし、西島部長?」と斉藤の声がした。 「んー、斉藤?」 寝ぼけながら答える西島。 「朝早くすみませんあの、俺の有給ってどうなってます?」 「有給?」 「そう、有給」 「…………」 「ん?あれ?部長?部長?もしもし?」 斉藤の呼び掛けに答えない西島。 もしかして、寝ぼけて出たの? 斉藤はちょっと笑ってしまった。 可愛いなあ、西島部長。なんて思いながら。

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