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好きな人を守れる騎士になりたいです。15話
どこからか声が聞こえてきて碧は目を覚ます。
「碧、ちょうど良かったばい!ニッシーに電話かかっとるとばってんが、寝てしもうたとばい」
諭吉が碧の上に乗ってきた。
「ん?誰から?」
「斉藤ばい」
「えっ?星夜くん?」
碧は慌ててスマホを手にすると耳にあてる。
「もしもーし、部長?」
電話の向こうから斉藤の声。本当に斉藤からだと碧は慌てる。
「星夜くん!」
「あれ?碧」
途中から碧の声に変わったので斉藤も驚いているようだ。
「もしかして、部長……寝てる?」
その言葉にスヤスヤ眠る西島を見る。
「はい!可愛いです」
つい、見たまま、思ったままを言葉にする碧。
「確かに可愛いな……会社での部長とギャップが凄い」
「確かにそうですね……えっと、どうしたんですか?」
「部長に有給の事聞こうかと思って」
「有給ですか?お休みするんですか?」
「うん、ユウちゃんとアメリカ」
「えっ?アメリカ行くんですか?凄い!!」
碧はまだ海外には行った事がない。
国内なら家族と旅行とか修学旅行とか……碧の高校の修学旅行は国内だった。近隣で海外に行く高校があって羨ましかったのを思い出す。
「親が向こうに居るからさ……ユウちゃんがちゃんと親に結婚の許しを貰いたいって」
「結婚……の許しですか」
碧は昨日見た、プロポーズを思い出して幸せな気持ちになった。
ホカホカと心が温まってくるのだ。
「きちんと挨拶したいって」
「佐々木部長……カッコイイですね」
「そりゃあ、スパダリだもん!」
得意気に言う斉藤。
「スパダリ……ですか?」
碧はキョトン。
「西島部長も碧のスパダリだろ?」
……もしかして、カッコイイって意味かな?と碧は思った。なので「はい!」と即答。
「部長寝てるならいいや……」
「大丈夫ですか?ちひろさん起こしますよ?」
「いいよ、寝かせてて……碧もごめんな起こして」
「いえ……どうせ起きるんですから」
碧は笑って元気に返事を返す。
「ありがとう碧」
そう言って斉藤からの電話は切れた。
アメリカ……ですか!!碧は斉藤から聞いた親に挨拶に行くという言葉で西島が自分の両親に挨拶してくれた事を思い出して顔がニヤケてしまう。
大人ってちゃんとしてる……佐々木部長もアメリカに挨拶に行くって素敵だな。
ほんのちょっと前まで高校生だった碧には新鮮でそして刺激的だった。
高校で付き合っている友達はいたけれど、親にキチンと挨拶している子なんて居ただろうか?
皆、親には言っていなかった……恥ずかしいからって友達は言ってたのをふと、思い出す。あと、まだ早いって禁止されたり。
恋に遅いとか早いとかあるのかな?
考えてしまう。
僕は奥手だって言われてたから遅い方かな?
ふふ、でも……遅くて良かった。だって……ちひろさんと……えへへへ。
碧はニヤニヤが止まらず枕に顔をバン!!とつける。
その微かな衝撃で「ん~」と西島がうめき声を上げた。
やばい!起こしちゃった?
顔を上げて西島を見ると、彼も碧を見ていた。
「ち、ちひろさん……おはようございます」
目が合ったので挨拶をする。
「ん、おはよ」
起き抜けの西島は可愛い。子供みたいで可愛いのだ。これは碧の密かな楽しみと秘密。
「早起きだね」
「はい」
「おいで」
西島に両手を伸ばされ、その腕の中へスルリと入り込む。
「ちひろさん、星夜くんからの電話覚えてます?」
「えっ?」
何それ?とキョトンとしている。
「さっき、星夜くんから電話あったんですけど、ちひろさんが最初出たんですよ、でも、寝惚けてたみたいで」
「えっ?嘘……知らない」
「やっぱり」
ちひろさん可愛い!!と碧はニヤケてしまう。
こんな可愛いちひろさんを知っているのは僕だけだもん!!
「何の用だったんだ?アイツ?」
「有給の事みたいです」
「ああ、佐々木が戻ってきたからか?」
「アメリカ行くみたいです」
「は?アメリカ?」
新婚旅行か?と西島は考えてしまった。
「ニッシー腹減った」
ドスンと上に諭吉が乗ってきた。
「アメリカより、飯ばい」
両足でふみふみと踏みながら訴える。
「本当、お前……食いしん坊だよな」
西島は起き上がる。
「猫は本能のおもむくままばい?」
ぴょんと床へ飛び降りた諭吉。
「先に行ってまっとるばい」
諭吉は待てないのか、先に行ってしまった。
まあ、どうせ起きるし……と西島は碧と一緒に寝室を出た。
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