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好きな人を守れる騎士になりたいです。 16話

◆◆◆◆ 「挨拶に行くのか佐々木」 朝食を食べながら碧に有給の理由を聞いた。 「そうなんです!星夜くんのご両親ってアメリカなんですね、カッコイイ」 アメリカ=カッコイイという碧の言葉にほっこりくる西島。 「碧は海外は行った事ない?」 「はい、まだ……ちひろさんはあるんですよね?」 「うん、留学してたから」 「留学……カッコイイです!!」 碧の尊敬の眼差し……悪くないとニヤケてしまう。 「じゃあ、アイツら向こうで式あげるのかな?」 「式?」 何の式?とキョトンとする碧。 「結婚式」 「け、結婚式!」 思わず声が大きくなってしまった。 そうだ……そうだよね?プロポーズされてたもんね星夜くん……そうか、結婚式。 結婚式の事は頭になかった碧。 プロポーズされたらそこで終わりではなかったのだと改めて思った。 碧の兄弟はまだ、誰も結婚していないから考えてもいなかったのだ。 えっ?星夜くんってドレス着るの?と真剣に考えた。 「ドレス」 「えっ?ドレス?」 今度は西島がキョトン。 「星夜くん、ドレス着るんですかね?」 碧は天然だとは知っていた西島だが、真顔でドレス着るんですかね?と聞かれたら飲んでいた味噌汁を危うく吹き出しそうになった。 でも、耐えた!! 「佐々木がお願いすれば着るんじゃないかな?」 そう答えるのが精一杯。 「似合いそうです」 あー、確かに斉藤も整った顔をしているので似合うかも知れない。でも、1番似合いそうなのは目の前の碧だ。 「碧も似合いそうだな」 つい、言葉にしてしまった願望。 「ぼ、僕ですか!!」 驚いてまた声が大きくなった碧。 「僕は似合いませんよ!」 ドレスとか……僕似合わない。それにドレスってお姫様みたい。僕は騎士の方がいい。 ちひろさんを守れる騎士。 「似合うよ、俺がお願いしてもダメ?」 なんですと!! 西島の言葉に碧は悩む。大好きな人のお願い。 「ぼ、僕はお姫様より騎士がいいです……でもちひろさんのお願いなら」 碧の頬は赤い。 照れた顔がそれはそれは可愛い。 きっと、結婚式でそういう顔を見せてくれるんじゃないかと西島は想像してしまった。 結婚……。 自分もいつかはちゃんと碧の両親に挨拶をして……と思っているがなんせ碧はまだ10代だ。若く幼い彼をそういうもので縛り付けるのも……なんて思ってしまう。 碧はというと、ドレスをきかれたのでふと、自分が西島と結婚式を挙げる妄想をしていた。 ちひろさんタキシード似合う。 だって、あの高そうなスーツも似合っていたし、ホテルでコスプレで着てくれたのも似合っていた。 はうわ!!やばい!ちひろさんカッコイイ!! きっと騎士の格好も西島なら似合う。もちろん王子様だって似合う。 じゃあ、僕はやはりお姫様なのだろうか? 西島にドレスのまま抱き上げられる妄想まで追加した。 あああ!!どうしようドキドキする。 王子様みたいなちひろさんが僕だけのものに……それなら着てもいい。 「あ、あの、僕着てもいいです。ちひろさんにお姫様抱っこされたいです」 妄想をつい言葉にして照れる。 「たくさん、してあげるよ?」 ニコッと微笑まれ碧は幸せな気分になった。 ◆◆◆◆ あー、なんやお花畑ばい。 諭吉はそんな2人を冷静な目で見上げていた。 ◆◆◆ 「碧、おはよう」 自分の机に鞄を置いていると、後ろから声がした。 「星夜くん」 振り向くと斉藤が笑顔で立っている。 「僕、今日は星夜くんお休みするかと思ってました」 「ユウちゃんと一緒に来たんだ」 「わあ!それじゃあ、会社復帰するですか?」 「いや……それは分かんない。ただ、世話になったから挨拶するって」 「会社……復帰しないんですか?佐々木部長」 碧は佐々木に会社に残って欲しいと思う。仕事も出来るし人望もある。 自分も何度も助けて貰っている。 「ユウちゃん……迷惑かかるんじゃって思ってんのかも」 それは何を言いたいか碧でも分かる。でも、新人社員で力もない自分にはどうする事もアドバイスさえも出来ない。こういう時は仕方ない事とはいえ、落ち込んでしまう。 ちひろさんもきっと残って欲しいって思うよね? チラリと西島の机の方を見る。 彼は今、席を外している。会社近くで他の課に用事があると別れたから。 まだ、戻っては来ない。

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