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好きな人を守れる騎士になりたいです。 17話
◆◆◆◆
エレベーターに乗り込む西島、行き先階ボタンを押した後に閉めるのボタンを押した瞬間、誰かが乗り込んで来た。
ドアが閉まりかけたので慌てて開ボタンを押し、「何だお前か」と乗り込んで来た相手に言う。
「何だとはつれないなあ、千尋たん」
ニコッと微笑む佐々木。
「千尋たん言うな!」
睨みつける西島に平気そうな佐々木。もう慣れている。
「会社復帰か?」
「んー、復帰っていうより、そもそも退職届け受理されて無かった」
「……あ、専務か」
「俺、人気者だな」
ドヤ顔をする佐々木。何か言いたい西島だが確かに人気あるというのは間違いではないので何も言わないでおく。
「で?いつから出勤するんだよ?」
「ん?どうせなら少しやすんでからと思って」
「斉藤?」
「そう、一緒に両親のとこに挨拶に行こうかと思って」
「……なんか、お前って見かけチャラそうだけど」
西島は言いかけて止める。
「なんだよ?その何か言いたげな感じはさ……俺は決めるとこはちゃんと決める」
「そうだな……」
西島が言葉を溜めるような感じなので佐々木は「何だよ?ハッキリ言えよ」と肩を軽く叩く。
「……親父さん、どうしたのかな?って思って。まあ、余計なお世話だろうけど。お前を連れ出しちゃったから」
「ああ、大丈夫!お前んとこには迷惑はかからないと思う、あの人が何考えているか俺も分からないしさ……お前もだろ?」
佐々木に言われ黙る西島。
「まあ、ずっと逃げる事は出来ないからその内、どうにかするさ……星夜との結婚は反対するだろうけど、俺は構わない。俺の人生だし、でも、星夜の人生は俺がどうにかして良いものじゃないから両親には挨拶に行くよ」
「そっか……」
「千尋が碧ちゃんの両親に挨拶行っただろ?あの時凄いなって密かに思ってさ……あー、俺も逃げてばかりじゃダメだなって思ったわけよ」
「ん?それって俺のせい?」
「いや、せいじゃなくて、お陰だな」
フフッと笑う佐々木。
「許されなかったらどうするんだ?」
「許して貰えるまで頭下げ続けるつもりだよ」
「……頑張れよ」
西島はにそう言うとエレベーターを先に降りた。
西島は色々と考えていた。
碧の両親には挨拶に行った。でも……、自分の親には碧を紹介してはいない。
反対するだろうか?するだろう……。
愛人の子供であっても長男には変わりない。
世間体とか気にするのかな?
でも、気にするなら愛人の子供である自分を引き取るだろうか?
色々と考えてしまうが自分では答えが出せない。
相手の考えが分からないからだ。
いつか、自分もちゃんと碧と世帯を持ちたいと思う。思うけれど、避けて通れない道がある事も知っている。
それを考えてしまうのだ。
◆◆◆◆
「佐々木部長、復帰するらしい」
その情報は昼には会社全体に広まっていた。
碧が居る課でもその話題になり、斉藤は嬉しそうだ。
「いつから復帰するんですか?」
小声で斉藤に聞く碧。
「わかんない、休み取るって言ってたから、それを話に来たみたいで」
「アメリカ行くんですよね?」
「うん」
「なんか、カッコイイです」
「何が?」
「僕、海外行った事ないから」
「部長に連れて行って貰えばいいじゃん?ほら、ハネムーンとかで」
ハネムーン!!!!
碧はその言葉に興奮してしまう。
「星夜くんはドレス着るんですか?」
突拍子もない事を言い出す碧に笑い出すというより意味が分からずキョトンとする斉藤。
「えっ?なんで?」
首を傾げて聞く。
「結婚式とかするんじゃないんですか?」
んん?この子は何を言っているのだろうと?更にキョトンとなる斉藤。
「ちひろさんが星夜くん達、向こうで結婚式挙げるんじゃないかって」
ああ!!そういう事?と思ったが、でも、ドレスは?と分からない。
「星夜くん、着るんじゃないんですか?」
結婚式、ドレス……と話がきたので、ようやく碧が何を言いたいか分かった。
「碧!!本当、お前って天然で可愛いよな」
斉藤は碧の頭を撫でる。
「えっ?なんでですか?」
今度は碧がキョトン。どうして、天然で可愛いと言われているか本人は分かっていない。
「まあ、星夜なら似合うだろうな」
真後ろから佐々木の声がして、2人は振り向いた。
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