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好きな人を守れる騎士になりたいです 18話

「着てみるか?」 想像しているのか佐々木はニヤニヤしながら斉藤を見ている。 「やっぱり着るんですか?」 碧の目がキラキラしている。 「ユウちゃん止めてあげて、碧が余計に思い込むから」 必死に止める斉藤。 「えっ?着ないんですか?」 「碧ちゃんも似合いそうだよね、千尋の時は着てあげなよ」 佐々木は耳元で言う。それを聞いた碧は頬を赤らめる。 きっと、想像したのだろう、わかりやすい子と佐々木は微笑ましく思う。 「佐々木部長!復帰するんでしょう?良かったです!人事部が喜んでましたよ」 他のスタッフも佐々木に気付き、騒ぎ出す。 「盛り上げ役の佐々木部長が居ないと寂しいですもんね」 「西島部長も焦ってましたからね、佐々木部長が辞めるって聞いて」 男性スタッフに言われ佐々木は驚くというか嬉しそうな顔になる。 あのツンデレめ!! 西島が素直じゃない事は知っているし、なんせ、乗り込んで来てくれた。それは本当に嬉しい。 「もう復帰されるんでしょう?」 「いや、まだだよ、休み貰いに来ただけなんだ……騒がせた後なのに申し訳ないけれど」 「あっ、そうなんですか……」 何か言いたげなスタッフ。事情をどこからか聞いているのだろう、と佐々木は思う。 家庭の事情でゴタゴタしているのを聞くのもどうだろう?……と、そんな所だろう。 「結婚の承諾貰いに」 「えっ?」 それはスタッフ全員と斉藤も声を出した。 「けっ、結婚って!あれ?」 結婚するという噂がガセではなく、本当なのか?と周りはざわつき始める。 「ユウちゃん!」 一番驚いているのは斉藤。 プロポーズはされた!親にも会いに行くと言ってくれた。 でも、会社には言わないだろうと思っていたから。 だって、自分でも自覚している。 男性同士の結婚が世間では祝福されない方が多いと充分過ぎるくらいに知っている。 佐々木と会う前の斉藤は女の子と付き合っていたし、将来は結婚して家庭持つのかな?って思ってもいた。 だから、今の状況は過去の自分からは想像出来ない。 「専務にも報告しちゃった」 斉藤を見てニコッと笑う。 「は?マジで!!!」 驚く斉藤の声は課に響く。 「い、言っちゃったの?」 「えっ?言っちゃダメなのか?」 「だ、ダメじゃないけど、ユウちゃんの立場が」 「立場って何?そんなものより星夜の方が大事だけど?」 真顔で返された。斉藤はもう返す言葉が出ない。出ないというより出せない。嬉しすぎて。 その会話をんん?どういう事?と首を傾げるスタッフ。 首を傾げているが何となく状況は把握していると思う。 「えーと……あの、佐々木部長?その会話から察するとウチの斉藤と……その……」 男性スタッフは恐る恐る、言葉にする。 「あ、そういう事」 佐々木は斉藤の手を掴み上に上げた。もちろん自分の手も。 そこには指輪が。 「ええっ!!!」 スタッフ全員の声の驚く声が社内に響くのであった。

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