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好きな人を守る騎士になりたいです 19話

「ゆゆゆ、ユウチャン!!」 斉藤は顔が真っ赤だ。 「えっ?嘘、冗談じゃなくて?」 「いつの間に?」 「えっ?斉藤くんって女の子とよく飲みに行ったりしてなかった?」 色々な言葉が一斉に飛び交う。 「はいはい、皆さん静かに!!」 それを静める佐々木。 「嘘でも冗談でもない!斉藤は俺の嫁になるから今後手出し禁止!」 その場に居る女性スタッフにビシッ!と言う。 「ってなわけで、俺達は失礼します!」 佐々木は斉藤の手を掴む。そして、「碧ちゃんもおいで」と手招きをした。 えっ?なんで?と思ったが碧は2人と一緒に課を出て行った。 佐々木達が去った後はざわつきは西島が戻って来るまで止まる事はなかったのだ。 「あの、僕……」 お邪魔では?と思った碧。 「あの場に残されたら碧ちゃん集中攻撃されるからな、ほら、星夜と仲良しだろ?今、あの場を静める千尋不在だし」 「あっ、」 佐々木の言葉で自分を連れ出したのは気遣いだと知る。 佐々木は気が利く優しい人だと碧は改めて思う。 「神林のとこに居たらいいよ、千尋、まだ戻らないから」 「でも、仕事……」 「皆、仕事にならないと思うよ?」 クスクス笑う佐々木。 確かに!と碧も思い、神林の所へ避難しに行く事にした。 佐々木は斉藤と帰って行った。アメリカへ行く準備をする為に。 ◆◆◆◆ 佐々木と斉藤の結婚はあっという間に広まっていた。 「ああ、だから少し騒がしいのか」 神林は碧に飲み物を渡す。 碧専用のココア。コーヒーかお茶しか置いていなかったのだが碧が頻繁に来るようになったので神林が買ってきたのだ。 「佐々木部長、カッコよかったですよ!皆の前でビシッと!」 興奮気味に話す碧。 「あはは、佐々木らしいね!アイツ、昔っから決める時は決めてたからな」 「そうなんですか?」 「学生時代からあんな感じだよ?だから、男女共にモテてた」 「やっぱり、カッコイイ人は昔っから凄いんですね」 感心する碧。 「千尋もそうだよ」 「えっ?」 「決める時は決める、でしょ?」 神林に聞かれて嬉しそうに頷く碧。 そうだ……ちひろさんもちゃんと僕の両親に挨拶してくれた。 一緒に住む許可ください!って。 碧の為なら殴られてもいいし、会社も関係ないって言ってくれた……。 碧は思い出したのか幸せそうな表情になる。 「斉藤くんも碧ちゃんも見る目あるね」 神林は碧の頭を撫でる。 「神林先生もでしょ?此上さん素敵ですもん」 此上を褒められ、神林も顔が赤くなった。 「なんか、お互いの恋人褒めあってるね」 「ふふ、そうですね。僕、神林先生や星夜くんが近くに居て嬉しいんです」 「えっ?どうして?」 「だって、ちひろさんを褒めてくれるし、話も聞いてくれるから」 「あはは、そうだね、それだったら俺もそうだよ?碧ちゃんが居てくれて嬉しい」 互いに褒めあい微笑む2人。 幸せな空間が医務室に広がるのである。

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