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好きな人を守れる騎士になりたいです 20話

◆◆◆ 「西島くん、今戻ると大変だよ」 課に戻る途中、専務に捕まった。 「はい?何の事です?」 キョトンとなる西島。西島は佐々木が斉藤と結婚する発言をした事を知らない。 「佐々木くん、斉藤くんだっけ?君の課の子と結婚するんだろ?ふふ、佐々木くんの恋人が斉藤くんだとは」 専務は笑っている。 それは馬鹿にしているとかではなく、微笑ましい!そんな微笑み。 同性同士の結婚なのに、驚いたり、差別したりというのが感じられない。 なんか、凄い人だなっと西島は思った。 「佐々木……言ったんですね」 「うん、斉藤くんのご両親に会いに行くから復帰はその後でお願いしますって頭下げられたよ」 アイツらしいな。 「……それで、どうして戻ったら大変なんですか?」 「君の課で結婚宣言したからだよ、さっき通ったらえらい騒ぎになってた。今戻ると質問攻めされちゃうんじゃないかな?」 「えっ……アイツ……」 宣言しちゃったか……するよな。 「佐々木くんは斉藤くんと斉藤くんと仲がいい佐藤くん、あの子連れて課を出ちゃったから質問する相手が今居なくなったから、西島くんに集中しちゃうと思う」 「あお……佐藤まで?」 危うく碧と名前呼びしそうになって焦ってしまった西島。さり気なく言い直したが内心ドキドキだった。 「斉藤くんと仲良しだから置いて出ちゃうとあの子が質問攻めされちゃうからじゃない?あの子大人しいし、気を使ったんだね」 なるほど……と思った。憎たらしい程に気が利く。 「神林の所に避難しようかな……」 「それがいいよ」 専務はポンと西島の肩に手を置いて「西島くんはしないの?結婚」と微笑まれた。 探り入れられてるのかな?と思ったが、「いつかはしますよ」と微笑んだ。 「ふふ、大事にしてあげてね、いい子だよねあの子」 専務はヒラヒラと手を振って歩いて行った。 …………やっぱ、バレてるやんんんん!!! 西島は座り込みたかったがぐっ!と我慢して、神林が居る医務室へ。 「千尋」 「ちひろさん」 医務室で神林と碧に出迎えられた。 「ここに居たのか」 碧を見て、ホッとする西島。 佐々木が連れ出したと聞いていたので、どこに?と思っていた。 まあ、良く考えるとここだよな?とは思う。 「コーヒー」 「はいはい」 神林にコーヒーを頼み、碧の隣に座る。 「佐々木が結婚宣言したんだって?」 「はい!そうなんです……ちひろさん、課に行ったんですか?」 「ううん、途中で専務に会って、今戻ると質問攻めされるから止めた方が良いって言われて」 「さすが、専務」 そう言ったのは神林。コーヒーを西島に渡す。 「佐々木……本当アイツにはまいる」 「ふふ、そうだね。佐々木らしいよね。コソコソするの嫌いだから」 西島のボヤキに言葉を返す神林。 「カッコよかったですよ?佐々木部長!星夜は俺のだから、今後、手を出すの禁止ってビシッと言ってました」 碧はキラキラした瞳で課での佐々木の台詞を言う。 「本当……アイツは」 らしいなって思うのと、ハッキリしていて羨ましいという事。 「星夜くん、幸せそうでした」 「そうか」 自分の事のように喜ぶ碧の頭をくしゃくしゃと撫でた。 専務が結婚しないの?という質問を思い出し、碧を見つめる。 いつか……したい。 ちゃんと碧と家族になりたい。 「ち、ちひろさん?」 どうしました?と首を傾げる顔が可愛い。 手を伸ばして頬に触れる。 「……千尋、そこから先は部屋でやれよな」 神林の言葉で我にかえる西島だった。

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