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臆病者って弱いんじゃなくて優しいのです。4話
「どーした?」
挙動不審の神林にキョトンとしている西島。
ほっぺにちゅーは見られていないようだ。
「何でもないよ。碧ちゃん迎えに来たんだろ?」
「そうなんだけど、碧を預かって貰いたいんだ」
「はっ?」
「会議が決まって……遅くなりそうなんだよな」
「碧ちゃんなら大丈夫だろ?」
と西島を見ると、過保護な親みたいな顔になっている。
かなり心配症なのだろう。
「夕飯とか1人じゃ寂しいだろ?」
じーっと訴えるような瞳。神林はその瞳に弱い。
「分かったよ!」
訴える瞳に負けてしまった神林は碧を預かる事に。
◆◆◆
「ちひろさん遅くなるんですか?」
碧がようやく目を覚ましたので神林は西島の事を話した。
「だから今夜は篤さんと一緒に夕飯を作ってあげるよ」
「本当ですか?」
碧は嬉しそうに喜ぶ。こんな風に喜んでくれると神林も悪い気はしないし、むしろ……兄というか父親気分になってしまう。
碧が余りにも可愛いせいだ。
此上には事情を話していたので迎えに来た彼の車に乗り込んだ。
「碧ちゃん何食べたい?」
運転をしながら碧に聞く此上。
「あの、僕も手伝いますから」
「そうだね、手伝って貰おうかな?」
ニコっと微笑む此上。
「スーパーに寄って帰ろう。諭吉にもマグロ買ってあげたいし」
「そんな、僕がお金出しますよ」
「いいんだよ、諭吉のファンだから」
「でも……」
「碧ちゃん、俺も諭吉のファンなんだ……だから、オヤツ買わせてよ」
神林までも。
「いいんですか?」
「うん、代わりにモフモフさせてもらうから」
「はい!じゃあ、お願いします」
碧は2人に頭を下げて、そして立ち寄ったスーパーで夕飯の食材と諭吉のオヤツを買った。
車がマンションの近くにさしかかると「此上さん止めて!」と碧が急に叫んだ。
「どうしたの?」
「あの、僕、公園の猫にご飯あげてくるから先に……」
お客さんを先に部屋に行かせるのは失礼なのだけれど、碧はどうしても車を降りたかった。
「じゃあ、荷物持って帰ってあげるから……それと鍵」
此上は手を出す。
その手に部屋の鍵を乗せる。
荷物を置いて、猫用のご飯を手に車を降りた。
そして、公園へ。
此上は碧が向かった公園にある人物が居るのに気付いた。
「ひ、ヒロちゃん!」
碧はベンチに座る男性に声をかけた。
ヒロちゃんって呼んでいいよと会った時に言われたから呼んでみたけれど緊張した。
「碧くん」
ヒロちゃんは笑顔で碧の名前を呼んだ。
此上が気付いた人物は西島の父親。
車を走らせながら、本当……千尋が素直じゃないのはきっとあの人の性格を受け継いでいるからだ。
きっと、心配で様子を見に来たのだろう。
佐々木のパーティでは西島の父親も裏から手を回した。
あのパーティの後、佐々木の父親に会って色々と話をつけていた。
もちろん、西島はその事を知らない。
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