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にゃんこ♪第2話

うひゃあーっ! 思わず身構えてしまう碧。 つい、さっきまで怒鳴っていた上司が目の前に居るんだから身構える。 「お前、握り飯1つって午後からの仕事、腹減って出来ないだろ」 西島はサンドイッチをズズッとさらに近付けるが碧は微妙に後ろに下がる。 警戒しているような碧。 毎日、怒鳴ればこんな風に身構えて警戒するよな?と西島も感じたが、そんな碧の態度が何かと被った。 あー、何だっけ? 碧をじぃ~っと見る。 佐々木がうるさいくらいに可愛い可愛いと言うのが分かる。 確かに佐藤碧は可愛い。 小柄で色白で、目はめちゃめちゃ二重だし、女子社員がいつだったか、 「くっきり二重いいなあ~アイプチ要らずだよね。睫毛もさ、ツケマ要らずだよね碧ちゃん」 と碧を囲んで騒いでいた。 つーか、お前らは何しに会社来てるんだよ?と思った。 そんな女子社員の中で碧は一番可愛かった。 まるで小動物………、 あっ、そうか子猫だ。 フワフワな子猫。 人に馴れてない子猫みたいだ。 公園で見かける野良の子猫。 親とはぐれたのかボッチで公園の茂みに身を潜ませていて、誰にも見つからないように息を潜めていた子猫。 近寄ると、威嚇の声は上げないものの、ビクビクして、大きな瞳で自分を見ていた。 一歩近付くと一歩下がる。 そんな一定の距離を保つものの逃げない。 腹減ってんじゃないかと子猫用の餌を持ってきて与えるが近くにいたら決して食べようとしないから、離れた場所で見ていると食べてくれた。 まさにそんな感じな今の距離。 「食べろ」 碧にそう言うとサンドイッチを置いてその場を離れる。 碧は何か言いたげだったが、西島は振り返らなかった。 西島部長ーっ! 突然現れて目の前にサンドイッチを置いて、去って行った。 食べろ。それだけ言って。 確かにオニギリ1つじゃ足りなかった。 食べろって言ったんだから、いいのかな? せっかく、くれたんだもんね? ありがとうございます。って言えなかった。 ううっ、僕って本当に……情けなさすぎ! 落ち込みながらも碧はサンドイッチの袋を開けてモソモソと食べ出す。 あ~、良かった。食べてる。 ちょっと離れた場所から西島は碧を見ていた。 やっぱ離れると食べる所も似てる。 「西島く~ん、餌付けかい?俺の碧ちゃんに」 後ろから佐々木に肩を掴まれた。 「お~食べてる姿も可愛いなあ碧ちゃん」 ニヤニヤする佐々木の目の位置に腕をやると、 「戻るぞ変態」 と歩き出す。 ***** お礼言おうと思ったのに。 碧が戻ると西島は会議に出席していて不在だった。 「ねえねえ碧ちゃん、食堂で部長と話してたよね?まさか怒られてた?」 真向かいの席の女子社員が話し掛けてきた。 「違います」 慌てて否定。 「そっかー、心配してたんだよ?」 「ありがとうございます」 頭をペコリと下げる。 「いやん、碧ちゃん可愛い」 と女子社員はニコッと笑う。 「碧ちゃーん、今日珍しく食堂居たよね?しかも部長とー」 と別の女子社員が数人来た。 「あ、碧ちゃん別に怒られてなかったみたいよ」 真向かいの女子社員が碧の代わりに答える。 「そっかー良かった。ね、碧ちゃん……時間あるよね?」 ニコッと笑う女子社員に、碧はビクッとなった。 碧は昼休みは女子社員を避けるように隠れて昼食を取っていた。 理由は、 「碧ちゃんメイクさせて」 だった。 女子社員は何かと碧にメイクをしたがるのだ。 新色の口紅やアイシャドウが出た日には追い掛けまわされる。 原因は新入社員歓迎会で女装した碧が可愛かったから。 女装なんてするもんじゃないとその時思った。
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