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臆病者は弱いんじゃなくて優しいんです。14話

◆◆◆ 「こら、寝るならスーツ脱げ」 ソファーに西島を降ろす此上。 「着替え持ってきます」 神林は着替えを取りに行く。 「んー、めんどくさいからいい」 「良くないだろ!シワになる、本当……お前普段はしっかりしているクセに」 此上は西島の上着を脱がし、ネクタイも外す。 もちろん、下も脱がせなきゃならないのでベルトを外してスラックスを脱がせる。 その間も無抵抗な西島。 脱がせているのが自分だからかも知れないけれど、無抵抗もどうかと思う……そして、本気で危ないとさえ思う。 飲み会はマジであまり行かせないようにしなきゃ……と過保護になってしまう自分がいる。 「篤さん着替え」 神林が着替えを持って戻って来た。 戻ってくると西島の露わもない姿。 ちょうど、シャツを脱がせている所だった。 男の裸にドキドキとするのは此上と西島だけ。 「トオル、手伝って……脱がせるのは得意だけど着せるのはな」 神林の顔を見てニヤニヤする此上。 毎回、此上に脱がされている神林は少し顔が熱くなってしまう。 「千尋、ほら、起きて」 神林は西島の頭側へと行くと彼を起こす。 「んー、ひとりでやる……」 起き上がらされた西島は半分うとうとしながら此上が手にしている着替えを取る。 「出来ないだろ?」 「でーきーるー」 子供みたいな言い返しに此上も神林も少し笑ってしまった。 「はいはい、じゃあ、頑張って」 「んー」 返事をしながらガクンとソファーから落ちそうになるので神林が慌てて身体を支えた。 「千尋、もう!俺達がやるから!」 神林は西島の手から着替えを奪うと頭からスッポリとかぶせた。 着替えが終わる頃、西島は完全に熟睡していて、此上と神林は顔を見合わせて笑ってしまった。 いつも、ツンツンしていて感情を隠す彼がこういう時だけ可愛くなる。 あざといな……なんて神林は思ってしまった。 此上が西島をベッドまで運んだ。 ベッドには碧が熟睡中でその横にそっと寝かせた。 ◆◆◆ リビングへと戻りひと息つく。 「篤さん食事温め直しますから」 「ありがとう」 神林はキッチンで料理を温める。 「にゃー」 ベッドの隅で寝ていた諭吉が足元へと来た。 「起きちゃったのか?」 「ミルク」 「ミルクか……んん?」 ミルクって言ったように聞こえて神林は諭吉を見る。 「トオル、どうした?」 キッチンへ此上が来たので「諭吉がミルクって言った」と教えた。 「へえ、マグロ以外にも言えるんだな」 此上はしゃがむと諭吉の頭を撫でる。 「ミルク!」 諭吉は撫でられながら要求。 「へえ、本当にミルクって言った!よし!ミルクあげような」 此上は立ち上がると冷蔵庫を開ける。 諭吉はサッと冷蔵庫を覗く。 此上は猫用ミルクを手にすると容器に入れて少し温める。 「トオル……専務って千尋の義父の弟さんだった」 「は?」 神林は思わず声が大きくなり慌てた。 「ずっと陰ながら千尋を見守ってたみたいだよ」 「……えっ?何ですか……それ?」 料理も温まったので此上は食べながら先程の出来事を神林に話した。

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