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臆病者は弱いんじゃなくて優しいんです。 15話

◆◆◆ 西島は喉の乾きで目を覚ました。 んー、ここ……どこだっけ? 自分がベッドに寝ているというのは感触で分かる。 ベッド?どこの? 確か……専務と飲んでて……。 身体を起こして周りを見ると自分の寝室。 あれ?いつの間に? 此上に迎えに来て貰ったあげくに着替えまで手伝ってくれたとは覚えていない。 「んー」 碧の唸り声で自分の部屋に居ると認識出来た。 寝返りを打った碧の髪を撫でる。 食事はちゃんとしたのかな?此上達が居てくれたから食べたと思うけど……心配しただろうな。 「ごめん」 小さい声で呟き髪にキスをする。 身体を起こして時計を見ると4時過ぎ。 風呂……入っていないよな? 西島はベッドから降りると寝室を出た。 リビングを通ると此上と神林が眠っている。 ……あれ?俺を連れて帰ってきたのって此上? 彼にLINEを送ったのは覚えている。 キッチンへ行き、冷蔵庫を開けると諭吉がにゅっと足元から顔を出した。 驚いて声を出しそうになり慌てて口を塞ぐ。 「酔いは醒めたとや?」 「俺……酔って帰ってきた?」 冷蔵庫の中から飲み物を出すとドアを閉める。 「べろんべろんやったぞ!此上が着替えさせよった」 「あっ」 確かにパジャマを着ている。自分で着た記憶はない。 まじか!!また、此上に説教される!! 西島は手にした飲み物の蓋を開けると一気に飲んだ。 「風呂入る」 空になった容器をテーブルに置くと風呂場へ。何故か諭吉もついてきた。 「ワシも入るばい」 「お前な、ドライヤー使えないんだぞ?」 「ブルブルして、自分で乾かすばい」 「そんなんじゃ直ぐ乾かないだろーが」 西島は服を脱ぐと浴室へ。 シャワーだけにしようかと思ったが浴槽にはちゃんとお湯がはってあった。 多分、西島が起きたら風呂に入るだろうと此上か神林……いや、碧の優しさだろうと浴槽に浸かる。 諭吉がぴょんと端に飛び乗る。 「こら!ダメだって!本当、猫って水嫌いじゃないのかよ?」 「人間と一緒ぞ!温泉嫌いな奴もおるやろ?そいと一緒でワシが風呂好きなだけばいー!」 「夜、入ればいいだろ?今はだめー!乾かせないから風邪を引く」 「ワシはそげん弱くないばい!」 「ちひろさん?」 諭吉と会話をしている途中で碧の声がドアの向こうから聞こえてきた。 「碧、起きたのか?」 磨りガラスの向こうから聞こえる西島の声に嬉しくなる碧。 西島がベッドを抜け出した後に碧は目を覚ました。そして、キッチンで物音と西島の声を聞いたのだ。 帰ってきたのだと、碧もベッドを抜け出した。 「僕も入っていいですか?」 「目が覚めるよ?直ぐに上がるから寝てなさい」 優しく声をかけるが、磨りガラスの向こうの碧は服を脱いでいる。 そして、裸で浴室のドアを開けた。 「ちひろさん、おかえりなさい」 「ただいま碧……寝てていいのに」 西島は手を伸ばし碧に触れる。 「お風呂一緒に入りたいんです」 このままでは風邪を引くので「おいで」と碧を浴槽へと入れた。

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