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臆病者は弱いんじゃなくて優しいのです。 17話
「はい!僕もちひろさんを守ります!」
碧は可愛い笑顔を見せた。
その可愛さに西島はキスを落とす。
ちゅ、ちゅ、と軽くキスをして唇を離した。
「碧……やっぱ、落ち着くな……癒される」
西島はぎゅっと碧を抱き締める。
「僕、ちひろさんを癒してますか?」
顔を上げて西島を見つめる。
「うん、すごーく癒されてるよ!専務と飲んでた時も碧の事ばかり考えてた……ご飯食べたかな?お風呂は?寂しくないかな?って」
その言葉に碧はパァ~と嬉しそうな顔になり「僕も!!僕もちひろさんどうしたかな?って考えてました!ご飯も待ってたんですけど、神林先生から先に食べなさいっていわれて……お風呂もちひろさんもいつも一緒に入りたいなあって」と一生懸命に西島が居なかった時間を説明した。
「お互い、同じ事考えてたな」
「はい!」
元気に返事をする碧の頭を撫でる。
「でも、飲み会で飲むのはやはり控えるよ」
「どうしてですか?」
「あー、多分、俺、途中で寝てる……此上が連れて帰ってくれたみたいで」
くそう!!また、借りを作ってしまったと西島は悔しがる。
確かに助けを呼んだが、考えていたのは途中で此上から連絡入って急用だと言って逃げ出すという計画だった。
まさか……眠り込んで連れて帰って貰うなんて予想外な事。
そんなに飲んだのかな?
「ちひろさんも専務さんを信用しているって事ですね」
「えっ?」
碧の唐突な言葉に聞き返す。
「だって、ちひろさん用心深いでしょう?なのに寝ちゃうまで飲むって相手を信用していないとできないですもん!いつも、家でなら飲むって言ってくれるのも僕を信用してるからですよね?」
ニッコリ微笑んで確信に迫る事を言うな……と思った。
自分でも気付いていなかったが確かに嫌では無かったのだ。
騙されたと分かっても付き合って飲んだのは専務だったから。
人懐っこい笑顔が懐かしく感じて。
知っている人みたいな感覚になり……つい、飲み過ぎた。
会話も楽しかった。
仕事の話をしていたわけではなく、色んな話をした。
会社の飲み会みたいな業務的ではなく、古くからの友人と飲んでいる……そんな感覚だった。
「そうかも碧は鋭いな」
「だって、僕も専務さん良い人だなって思いますもん!諭吉の事も可愛いって……猫好きに悪い人は居ないんですよ!」
自信タップリに言う碧にほっこりとしてしまった。
確かに猫好きだな、あの人も!
神林も此上も猫好きだしな。
うん、猫好きに悪い人は居ない!!
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