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臆病者は弱いんじゃなくて優しいのです。 19話

元気でなにより! 此上は今のは見なかった事にしよう!!と笑ってしまった。 きっと、寝いてると思っているのだろうな。 諭吉を降ろして尻尾を拭く。 「本当、元気だな2人とも」 まだ、夜も明けぬうちにセックス。 まあ、自分も調子いい時は神林を寝かせないから。……なんて考える。 「ニッシーはむっつりスケベぞ」 「あー、そうか……も?」 返事をして、どこから声が?と思った。 確かに今、むっつりスケベって。 トオル? 此上は神林が起きたのかとソファーの方を見るが寝息が聞こえてくる。 んん? 幻聴? やばいなあ……ストレスでも溜めてんのかな? 「此上、ミルクば飲みたいばい」 「は?」 此上は今、確かに声を聞いた。此上と自分の名前を呼ばれた。 「諭吉?」 その声は今、自分がタオルで尻尾を拭いているモフモフの猫から聞こえてきた。 「おお、何や?此上もワシの声聞こえるとや?そうやんな、ミルクも聞こえたもんな」 目の前で猫が喋る。 此上は額に手を当てた。 熱はない……。 「此上、ミルク!」 「あ、はいはい」 此上は立ち上がり冷蔵庫へ。 んん?今、えーと、猫と会話してる? 冷蔵庫からミルクを取り出し容器に入れて少し温める。 その間もうーん!と考える。 会話してる?……会話……って、「あっ!」 此上は容器を床に置き「千尋と本当に話してたのか?」と聞いた。 「そうばい?」 即答された。 ああ、なるほど……。そっか、会話してたのか。 千尋がやたらに諭吉に話していたのは……そうか。 「あれ?でも、何で今さら聞こえるんだ?」 「さあ?ワシにも分からん」 諭吉はぺろぺろとミルクを舐める。 その姿を見ながら、うおおお!!!すげえ、猫と話してる?なんか、ソロモンの指輪を持っているみたいだな。 此上はテンションが上がる。 「なあ、碧ちゃんとも話してるのか?」 「そうばい!碧は子供の頃からばい」 そうなんだ……凄いなあ。 羨ましいと思った。動物と話せるって夢だろ?と碧を羨ましがる。 「ワシの声が聞こえる奴と聞こえない奴がおる……碧とニッシーは聞こえる、じいちゃんもな」 「じいちゃん?」 「碧のじいちゃんばい……そいと、此上」 「俺もか……そっかあ」 何だか特別な気持ちになりワクワクとドキドキが交互にきた。 「たまに神林にも聞こえるばい」 「えっ?トオル?」 「ワシの言う事にたまに反応するけんな」 「そうかそうか」 此上は諭吉の頭をわしゃわしゃと撫でた。

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