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恋心8
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フワフワな感触がして、碧は少し目を開けた。
部長……
目に飛び込んで来たのは西島の姿。
それも、公園のにゃんこを見てる時の優しい顔。
すごい夢だなあ。
フワフワな感触は頭を撫でられているんだと気付くと、凄く幸せな気持ちになった。
夏姉ちゃんがあんな事言うから部長が夢に出てくるんだ……。
なんて考えながらも、幸せな気持ちは碧を良い気分にしてくれて、
夢の中の部長となら、色んな話出来そうな勇気までくれた。
碧は、大きな目を開けて西島を見上げる。
「ぶちょお…」
「ん?どした?」
「き……です」
「えっ?何?」
西島は碧に顔を近づけて聞こうとする。
が、
碧が西島に手を伸ばしたたタイミングが合ってしまい、驚いた西島がバランスを崩し、碧の上に倒れ込む。
むにゅ、
柔らかい感触と、碧のドアップ。
むにゅ、ってまさか………
唇?
西島がそう気づくのに数秒かかり、
「すまんっ」
慌てて碧から離れた。
でも、碧は無反応。
事故とはいえ、唇が触れた事は紛れもない事実!
「佐藤……すまん、変な…」
言い訳を言おうと顔を覗き込むと、碧は眠っているように見えて、
頬を軽く叩く、 もちろん反応なし。
ああ、寝ぼけてたのか。なんて安心した。
唇が触れた事に碧は気づかないまま眠っている。
頬に手をあてたまま西島は碧の顔を見つめた。
柔らかい頬はスベスベ。
さっき触れた唇も、やわらかかった。
親指が意志があるように勝手に動き、碧の唇に触れる。
プクンとした弾力は本当にコイツは男なのかと疑うほど気持ちが良い。
確かに自分の唇に触れた時、プニッとして、何か…………
凄く変な気分になった。
指先が勝手に口内へと侵入していく。
すると、
ちゅうちゅうと指先を碧が吸い始めた。
うわあぁーっ、
なんて動揺するも、その姿が、 まるで哺乳類を吸う子猫みたいで可愛かった。
自分の指を吸う仕草がたまらない……。
本当に赤ちゃん猫みたいに。
やばい、絶対にやばい!
碧を見ていると悶え死にそうで西島は指を抜く。
薄く開いたままの唇。
やわらかいよな、佐藤の唇………
さっき、自分の唇に感じた感触を思い出す。
自分でも理解出来ないけど、
そこに吸い寄せられるように西島は顔を近づける。
唇があと少しで触れそうな瞬間。
「んっ…」
碧が寝返りをうち、 チュッと頬に西島の唇が当たった。
あああーっ、
俺のばかーっ!
我に返った西島は風呂場へ直行。
頭冷やせ頭!
服を素早く脱ぎ捨て、シャワー全開で頭から水をかぶった。
「つめたーっ!」
悲鳴に近い叫びを風呂場で叫ぶ西島であった。
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修行僧のように水を頭からかぶりまくりの西島。
熱かった下半身も鎮火した所で風呂からあがった。
本当バカだよバカ!
あんな子供に!
佐々木の事言えないじゃないかよ。
ブツブツ言いながら冷蔵庫から水を出して飲む。
そして、フローリングに起きっぱなしのポカリを持ち上げ、碧の所まで持っていく。
落ち着け自分。
相手は子供だ、子供!
そう言い聞かせた。
碧は相変わらずスヤスヤ眠っており、 このまま泊めなきゃダメだな。
と考えた。
碧を1人には出来ないし、起こすのが可哀想だ。
それと、 無邪気な顔で眠る碧をしばらく見ていたいと思ってしまったのだ。
にゃんこみたいで、 ほっとけない。
ああ、公園のにゃんこに餌あげに行かなきゃな。
西島はそう考えながら碧の寝顔を見つめた。
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