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恋って何それ?美味しいの? 2話

***** プニプニ、 肉球の気持ち良い感触。 パチっと目を開けたら諭吉のドアップ。 「に~」 小さく鳴く諭吉。 こう鳴く時はご飯の催促。 「ご飯…」 碧は起き上がり、西島の寝顔が目に入った。 ベッドのすぐ横に毛布にくるまり眠っている。 床に寝ている西島。 あ、そっか、僕がベッド占領してるから。 チクと胸が痛んだ。 幸せな気持ちで居たけれど西島が床に寝ている姿見てしまったら、反省してしまう。 迷惑かけちゃった。 心が一気にションボリとなる。 でも、 部長の寝顔可愛い! 無防備に眠る西島は隙だらけで、親しみが湧く。 大人の男性に可愛いは失礼かな?って思うけど、 西島は可愛い! もうちょっと近くで見ようと身を乗り出す碧。 諭吉がポンと背中に体当たりをしてきたので、見事にバランスを崩し、碧は西島の上に落ちてしまった。 やばい! 碧は落ちた瞬間、身が凍る勢いだったが、 西島は、 ん~っと唸ると、落ちてきた碧を、ぎゅっと抱きしめた。 逞しい腕が碧を包むように抱きしめている。 ぶぶぶぶ、ぶちょーっ、 碧は顔を真っ赤にさせ、焦った。 碧は顔は西島の首筋辺りにあって、 彼から甘い匂いを感じた。 凄く良い匂い…… 部長って良い匂いする。 顔を少し上げると西島の唇が見えた。 セクシーな唇。 こんな近くに部長の顔。 ドキドキ、 ドキドキするよ夏姉ちゃん。 西島の手がフワリと碧の頭に置かれて、 ゆっくりと撫でられた。 部長ーっ、 起きてるんですか?と顔を覗き込むと、寝息が聞こえる。 撫でてくる手が優しい。 気持ちいい。 碧は西島の首筋に顔を埋めて、 部長……良い匂い。 と甘い匂いにウットリとする。 このまま、眠りたいかも。 碧は西島の腕の中、目を閉じる。 ****** こっこっこ、 これは何だーっ! 西島は今の状況に心臓が口から出そうなくらいに驚いている。 な、何で俺は佐藤を抱きしめて寝ているんだ? 何で、佐藤は俺の上に居るんだ? か、考えろ! 西島は数分前に目を覚ましていたが、今の状況、碧を腕に抱いている事に気づくのに数秒かかり、 その次に、 ダラダラと冷や汗が出ているのだ。 いくら考えても碧を抱っこしている経緯が不明である。 確かに自分は1人で寝ていた。 寝る前の事を思い出しても、碧を抱っこする状況までの経緯には繋がらない。 まさか、俺が寝ている佐藤を…… ヤッてないよな? 碧はシャツを着てはいるが、下は履いてないかも知れない。 た、確かめるか? 西島は悩む。 碧に視線を向けると、頭だけ見える。 スースー、と気持ち良さそうな寝息と、碧の体温。 碧は軽くて男を抱っこしているなんて思えない。 しかも、身体が女の子みたいに柔らかい。 くそ、くそったれ! 何で上で寝てるんだよ! しかも俺はちゃっかり抱き締めているし! 碧のフワフワした髪から良い匂いがしてくる。 甘い……本当に砂糖菓子かコイツは? 「んっ」 碧の声にびくっとなる。 起きた? 碧は顔の位置を変えただけで、また眠ったようだ。 コイツは猫か? 猫みたいに人の上で…… 猫みたいに軽くて、 猫みたいにしなやかそうな身体で、 猫みたいに温かくて…… 小さくて…… そして、 可愛い。

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