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逃げてばかりではダメなのです。 12話
◆◆◆
西島は朝言った通り、会議なので碧は此上とスーパーに来ている。
「碧ちゃん何を作りたい?」
「肉じゃがとトマトのお浸しとお味噌汁と鰤の煮付けとヒジキサラダ」
碧は指で数えながらメニューを言う。
「肉じゃが……千尋好きだもんな」
「はい!此上さんみたいに美味しく作りたいです」
笑顔で元気良く答える碧が可愛くて此上は顔が緩む。
「碧ちゃん、本当に千尋が好きなんだな」
頭をグリグリと撫でる。
買い物を終えて買い物袋を車へ乗せてマンションへと戻る。
「おかえり」
「マグロ!!」
神林と諭吉が出迎える。
「ただいま……諭吉、マグロちゃんと買ったよ」
此上は袋を見せる。
「おお!!さすが此上ばい!」
諭吉は此上の足元をウロウロする。
「諭吉、お行儀悪いよ!」
「マグロば目の前にして大人しくできん!」
碧に注意されても諭吉はソワソワ。
そんな諭吉を抱き上げるとキッチンへ。
「碧ちゃん肉じゃが作るらしいよ」
荷物をテーブルに起きながら神林に教える此上。
「はい!肉じゃが難しいんです。でも、ちひろさんが好きなので頑張ります」
グッと力こぶを作る碧。
「頑張って碧ちゃん」
可愛くて神林は碧の頭を撫でる。
「早うマグロ!!」
碧に抱っこされた諭吉はじたばた暴れる。
「おいで諭吉、マグロあげるから」
此上は諭吉を碧の腕から抱き上げると袋からマグロを出す。
「マグロおおおお!!」
諭吉のシャウトについ、此上は笑ってしまう。
◆◆◆◆
肉じゃがを此上に習いつつ、上手く作り上げた碧は早く西島に食べさせたくてうずうずしてしまう。
飲み会にならなきゃいいけれど……なんて願う。
「あ!!にゃんこ達のご飯」
碧は公園の猫達を思い出して慌てて用意する。
「俺も一緒に行くよ」
此上と神林の声がかぶる。
「此上も神林も過保護やなあ!ワシが行くけん良かぞ?」
諭吉は先に玄関へ。
「いや……諭吉も充分、過保護だろ?」
此上と神林は顔を見合わせて笑った。
◆◆◆◆
諭吉と一緒に公園へ行くと先客が居た。
「ヒロちゃん!!」
ベンチに座って猫達を撫でいる西島の父親が居た。
「碧くん」
碧に気付き微笑む。
諭吉も西島父の側へと行く。
「諭吉も元気か?」
諭吉の頭を撫でながらに言う。
「碧くんご飯はもう食べたのかい?」
「はい……今日は僕が作りました」
碧もベンチに座ると持ってきた猫達のご飯を下へ置く。
「何を作ったんだい?」
「肉じゃがです……教えて貰いながら作ったんですよ」
「誰から教わったの?」
「此……えっと、一緒に暮らしてる人のお友達です」
「千尋……さん……だっけ?」
「はい!名前覚えててくれたんですか?」
「うん」
「そのちひろさんが肉じゃが好きだから上手くなりたくて」
「そうか……偉いね」
そう言って碧の頭を撫でた。
「もっと沢山覚えたいんです」
ニコニコ笑って自分の息子の為に料理を作ってくれる可愛い子を見て嬉しくなる。
こんな風に愛してくれる人がちゃんと側に居るというのを知るのは嬉しい事だった。
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