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きゅん、ときたら恋ですか?2話
「ジブ〇野郎だからな西島」
「誰がジ〇リ野郎だ」
佐々木の言葉にイラつきながらそう返す西島。
何故にイラつくのかはきっと、佐々木だからだ!
コイツはデリカシーに欠けてるし、何より、まだ子供の佐藤を狙っている。
断固阻止せねば!
「じゃあ、碧ちゃん、斉藤は星夜くん、俺は裕ちゃん、西島は西島と呼びなさい」
と佐々木。
「何で俺だけ西島なんだよ」
不満そうな顔をする西島。
「あらあら、千尋くんとか碧ちゃんに呼ばれたいのか?ん?」
ニヤニヤする佐々木。
「ば、バカじゃねーの!と、とにかくウルサくしたら追い出すからな!」
西島はビシッと佐々木に言い放つと寝室を出た。
プンスカ怒って出て行く西島を見ながら碧は、 部長、普段は俺って言うんだあ。 なんか、凄く身近に感じちゃう。
なんて思っていた。
仕事では私を使う西島。
俺の方がいいなあ~なんて考えてしまう。
「碧ちゃん、何して遊ぶ?DVDとか見る?」
佐々木は自分の家かのように西島のノートパソコンを持ってくる。
「勝手に触ると怒られますよ?」
心配する斉藤に佐々木は「あいつ、ぶっきらぼうだけど、本気で怒ったりしないよ?じゃあ、なきゃ追い出されているだろ?何だかんだで面倒見もいい」
と言った。
「確かに……俺は始め西島部長が良く碧を怒ってたのが嫌だったんだけど、今はさ、碧を一番可愛がってるんじゃないかって思う」
「えっ?」
佐々木と斉藤の会話を黙って聞いてたのだけど、斉藤の言葉に驚く。
可愛がってた?
僕を?嘘?
斉藤くんの勘違いじゃないのかな?
「僕が皆より仕事出来ないからシッカリしろって意味で怒ってるんだって思ってた」
西島が怒るのにもちゃんと理由があると碧は思っていた。
「なるほど、碧ちゃんはそう思ってたのか、じゃあ西島は嫌いじゃないんだ?」
真顔の佐々木に碧は頷く。
「西島部長は憧れです」
照れたように笑う碧。
可愛い! なんて、佐々木と斉藤はにやける。
全然すれていない碧に自然と顔が緩むのだ。
「じゃあ治りたくないだろ?」
「へ?」
斉藤の質問に首を傾げる碧。
「体調戻ったら自分のアパートに戻るから」
斉藤の言葉に、ああっ、そうかと思った。
熱が下がったら……そう考えたら急に寂しくなった。
治りたくない。なんて、小さなワガママが生まれた。
*****
くだらない話しやがって!
西島は洗濯物を干しながらイライラしている。
千尋くんって呼ばれたいだろ?
また思い出し、 碧から、 千尋くん!と呼ばれるのを妄想。
きっと可愛い笑顔で呼んでくれる。
ああ、 良いかもな! って考えて、また頭を振る。
だーかーら!
違う違う!
俺はショタコンじゃない!
ブンブンと頭を振る。
「碧の側おらんで良かとか?佐々木とか言う奴は碧ば狙っとるとやろ?先に交尾されるかもしれんばい?」
「それなら斉藤が居るから大丈夫だろ?」
…………!!!
まただ!
また普通に猫と会話している!
西島は足元に感じるモフモフの毛の感触で諭吉が居るのだと分かってはいる。
でも、猫はしゃべらない!
「ばってん、本当は気になるとやろ?代わりに見て来てやろう」
諭吉はフワリと方向転換。
トットット、と軽い足音をさせて去って行った。
俺、ノイローゼかな?
******
「わっ、諭吉?」
部屋に入ってきた諭吉の姿を見つけた斉藤。
「にゃー」
諭吉はベッドへ乗る。
「何で諭吉が部長んちに居るんだよ?」
「実家に帰った時に着いて来て……昨日、部長が諭吉を連れて来てくれて」
斉藤の質問に碧は答える。
「じゃあ、諭吉も面倒見てくれてんだ。優しいな部長」
感動する斉藤。
そう!西島部長は優しい!
碧は顔がほころぶ。
「はいはい、じゃあ、お楽しみといきますか」
佐々木はニヤリと笑う。
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