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きゅん、ときたら恋ですか? 3話
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佐々木は大人しくしているだろうか?
斉藤が居るから口説いたりはしないだろうけど、西島は気になるので寝室の方へ。
近づくにつれて聞こえてくる声……
でも、何か変な……
「ああ、上手いなあ……良い子だね、あおいちゃん」
佐々木?
「そうそう、腰を振って……可愛い顔して、淫らだね。ずっと欲しかった?」
腰を振る?淫ら?
足音とたてないように西島は近づく。
「あんっあーっ」
「可愛いよ、あおいちゃん!ほら、脚もっと開いて」
「あああんっ」
まさか!まさか佐々木!
西島は勢い良くドアを開ける。
真っ赤な顔を背けている碧と、 ノートパソコンを食い入るように見ている斉藤と、 恥ずかしがる碧をニヤニヤしながら見ている佐々木の姿があった。
「さーさーきー」
西島はパソコンのキーを押す。
「あー、何で消すんだよ!」
文句を言う佐々木。
「何を見せてるんだ!」
ジロリと佐々木を睨む西島。
「ロリコンあおいちゃんシリーズ!部長とオフィスでハメハメどっきゅん」
佐々木はパッケージを西島にかざす。
そのパッケージを奪い取り佐々木の頭を角で殴る。
「いってぇ」
殴られた頭を押さえる佐々木。
「こんないかがわしいモノを見るんじゃない!」
「いーだろ!健全な成人男性なんだから」
「ダメだ!佐藤はまだ未成年だし、病人だろーが!」
「え~、でも碧ちゃん18歳未満じゃないし、社会人だろ」
「それでもダメだ!」
西島は他のDVDを手にして、
「アニメにしろ」
と斉藤に渡し、中身を変えるように指示する。
西島は真っ赤な顔をして俯く碧をチラリと見る。
ガン見していた斉藤とは違い、 きっと慣れていない。
そう感じる碧の反応。
可愛いと思ってしまった。
童貞かな?って、つい考えてしまって自分を殴りたくなった西島である。
「佐々木部長、そのあおいちゃんシリーズ全部持ってるんですか?」
斉藤が真顔で聞いている。
「いや、これは俺のじゃないんだ。親戚の子。多分、全部持ってると思うよ」
「貸して下さい」
そう答える佐々木の手をがっちり掴みながらお願いをする斉藤。
それを見てため息をつく西島。
それから何となく西島も加わりアニメを見る。
碧はさっきの反応と違い食い入るように見ていて、表情がコロコロ変わる。
かわいいと本気で思った。
まだ子供だな。
それが何故か嬉しい西島。
「腹減ったな」
アニメが終わると、佐々木はそう言いながら西島を見つめる。
まるで、
「作れと言わんばかりだな」
そんな感じ。
「碧ちゃんも腹減ったよな?」
チラリと碧を見る佐々木。
碧は素直に頷く。
「あ~俺も腹減りました」
斉藤もチャッカリ手を挙げる。
「分かったよ、軽くしか作らないからな」
西島は渋々腰を上げた。
「マグロ」
諭吉の声に西島はギョッとなる。
佐々木達の反応が気になり視線を向けた。
「マグロって言った?」
佐々木は諭吉を見つめる。
「はい。諭吉、マグロうまいって言えるんですよ!すごいでしょ?あ、西島部長も聞いたんです。ね、部長」
ニコッと笑って西島を見る碧。
「ああ、うん!聞いた、マグロうまいって」
「へえ~凄いなあ。ムービーに撮ってニコ動かYouTubeに上げれば良いのに」
佐々木は感心しながら諭吉を撫でる。
「西島部長、マグロないんですか?」
斉藤はマグロうまいを聞きたいのだろう。
期待する目で西島を見る。
「マグロは昨日食べさせたからない」
「えー、じゃあ俺、買ってきます!マグロうまいって聞きたい」
斉藤は立ち上がる。
立ち上がる斉藤を見て西島はふと、斉藤が買い物に出掛け、自分が飯を作りにキッチンへ行けば碧と佐々木が残される事になる。
いかん!
絶対にいかん!
さっきのDVDみたいな事をしかねない。
「佐々木、お前が行けよ、どうせ車で来たんだろ?」
と提案した。
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