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きゅん、ってきたら恋ですか?
「あ~、言うと思った」
佐々木はニヤリと笑いながら立ち上がる。
何かと碧と切り離したがっていると佐々木にはバレていた。
「碧ちゃん、何か欲しいものない?」
碧の方へ視線を向ける。
「いえ、あの、本当にマグロ買いに行くんですか?」
諭吉の為に申し訳ない。そんな表情の碧。
「マグロうまい、聞いてみたいし、いいよ。それに俺と碧ちゃんを引き離したい奴が…」
「ああ、ほら、玄関まで送ってやる!」
佐々木が言おうとする事を遮り、彼を玄関まで連れて行く西島。
ああ、もう!余計な事を直ぐ言おうとするから!
西島は佐々木の襟首を掴み玄関へ。
「千尋、なーんか分かり易くて結構好きだぜ?」
佐々木は靴を履きながらそう言う。
「何が?」
「碧ちゃんの事。自分で気づいてないんだろ?ここら辺りがきゅんって鳴る事」
佐々木は西島の心臓辺りを指さす。
初めはキョトンとしていた西島だが、 ものすごーく照れた顔をすると、
「ば、何言って!あたま、おかしいんじゃないか?自分が佐藤が気になるからってさ」
きっと西島本人は気付いていない。
佐々木に必死に弁解なような事を言う彼がかなりテンパっているって事に。
面白れえ。
佐々木はニヤニヤが止まらない。
「な、なにニヤニヤしてんだよ、早くマグロ買いに行けよ」
西島は佐々木の背中を押す。
「碧ちゃんプチ情報。碧ちゃんはアダルトを初めて見たんだってさ……目をそらして顔真っ赤にしてた。童貞だよ碧ちゃん」
「ば、」
馬鹿野郎と言う前に佐々木はドアを開けて外へ出て行った。
アダルトは初めてとか、
童貞とか、 あの変態野郎!
何がきゅんだよ、少女漫画か?
くそ、きゅんとなったら何だっていうんだよ?
きゅんって…………
な、ならないし!
アダルト初めてで確実にきゅんときた西島はテンパっていた。
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