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恋の病 7話

****** 髪を拭きながら戻ってきた西島。 「えっ?風呂入ってたんですか?」 少し驚き顔の斉藤。 「まあな、」 本当の理由は言えない西島は目をそらしたままに答える。 「一緒に入りたかった」 「入るか!」 真顔でそう言ってくる斉藤に眉間にシワを寄せながらに即答する西島。 「そろそろ帰るわ」 斉藤と西島の会話を遮るように佐々木はそう言う。 やった!帰るのか!とホッとする西島。 「え~、俺はもっと部長と居たいので残ります」 手を上げて発言する斉藤に西島はウンザリ顔。 「斉藤も帰りなさい」 「ちぇ、冷たい!碧には優しいくせに!俺にも優しくしてください!」 「俺の優しさは許容範囲が狭いんだ」 西島はキッパリと言い放つ。 「………それって、碧しか優しくしないって言ってますよね?」 斉藤の鋭い突っ込みに西島は黙り込む。 「もう、部長って嘘つけないですよね。笑い飛ばすとか、違うって否定するとかしないんですもん」 この指摘にも西島は黙る。 今更、違うとか言うのも余計に突っ込みがきそうだし、誰もが納得しそうな言い訳さえも思いつかない。 「でも、そんな所も好きですよ俺」 ニッコリ笑う斉藤。 斉藤はちょっとや、そっとじゃ諦めないような感じがして、西島はどうして良いかコメントに困る。 自分でも不思議だ。 碧が絡むと何時もの自分では無くなる。 「碧と2人っきりにして帰るの心配だけど、部長って常識ありそうだし、……碧も良くなればアパートに帰るだろうし。まあ、今日は我慢して帰ります」 何だろう、コイツのこの自信は……… 諦めないし、突き進むし、 そう考える西島は斉藤の性格が羨ましくも思える。 ***** 2人は帰って行った。 寝室に戻ると、 「マグロもうないとや?」と声が…… きたーっ! と正直思った西島。 「ないよ」 「しけとお」 しけとお。 猫にしけとお。言われた…………… いや、猫はしけとお。言わない! 気を取り直して西島は碧の様子を気にするように顔を覗き込んだ。 べ、別に寝顔を見たいとか、そんなんじゃないし!………なんて、誰に対しての言い訳なのか分からないが西島はぶつぶつと心で呟いた。 碧の手がスッと伸びてきて西島の首筋に抱きついてきたのと、それは同時だった。 ん? 一瞬、思考回路が制止した。 ぎゅっとしがみついてくる碧。 えっ?えっ? ええっー? ど、どうしたんだコレ? 碧に抱き付かれていると理解するのに数秒。 碧は起きていて、自分をからかっているのかと、考えてみるが、こんな事が出来る子ではない事は知っている。 じゃあ、寝ぼけているのか? あ、諭吉! そーだ、俺を諭吉だと思っているんだと考えが落ち着くと、この状況をどうしようか悩みだす。 振り解いて寝かせるか? それとも、添い寝? ああーっ、添い寝はダメだろ! なんて悶える西島をよそに碧の腕に力が入り、 「んんっ………ぶちょお……あっ」 甘い声が西島の耳元で聞こえてきた。 しかも、まるで………喘ぐような。 ずっきゅーん! と心臓を矢で貫かれたような衝撃。 ぶちょお?ぶちょおって俺?それとも佐々木? 心臓がバクバクしてきた。 「……にし……じま……ぶちょお」 あ、俺かあ! 碧の甘い声は西島を呼ぶ。 「んっ……そこはだめです………みちゃ……だめっ」 えっ?どこ?どこをみちゃダメなんだ? バクバクした心臓がさらに激しく動き出す西島。 「やっ………ぶちょお………恥ずかしいです」 えっ?えっ? 恥ずかしいって何が? 「あっ……ぼく、……はじめて……だから」 はじめてだから? まて、まてまて、 佐藤はどんな夢みてんだ? 寝ぼけてんだよな? 夢には俺が出てて、 俺は佐藤に何をしてるんだよ! はじめてとか、恥ずかしいとか! 夢の中の俺、何さらしとんじゃー未成年相手に! 「き………ぶちょお、すきです」 はっ? 今の何? い ま な に を い っ た ? 良く聞き取れなかった! もう一度聞きたいと思い、碧の顔に耳を近づける。 ちゅっ、 頬に碧のやわらかい唇が押し付けられた。

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