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部長が運命の人ですか?7話
マグロと言い張る諭吉も、出されたらちゃんと食べるようで、キャットフードをガツガツ食べている。
で、にゃんこを思い出して餌を持って外へ行く。
公園のにゃんこ。
西島の足音を覚えているから直ぐに顔を出した。
「にゃんこ、ごめんな。ちょっと遅くなった」
西島は餌の入った皿を置き、何時ものように離れる。
にゃんこはモソモソと食べ出す。
可愛いなあ。
西島の癒しの瞬間。
にゃ~、
匂いに釣られたか西島の足音をやはり覚えているのか、他の猫達も来た。
もちろん西島は他の猫達のご飯を持参している。
皿に乗せて置くとワラワラと数匹集まってきた。
彼らは喧嘩をせずに仲良く食べてくれる。それを見るのが西島は好きだ。
彼らがニャゴニャゴ鳴きながら食べている。
なんて、話してんのかなあ?
ふと、そんな事を考えていると、
「美味いってばい」
と足元で諭吉の声。
また、ついてきたかあ…………。
視線を落とすと諭吉!
やはり諭吉が居る。
コイツは………全く!
「碧の事聞いてるばい」
「は?佐藤?」
唐突な碧の名前に西島はビックリ。
「碧は公園の猫達に飯ばやりよったみたいやな。何時も来る男の子が来ないって、どうしたの?だとさ」
「えっ?そんな事言ってんのか?えっ?佐藤の事を何で俺に…」
「ニッシーから碧の匂いがするけんくさ」
「あ、ああ、そうか」
碧と一緒に居るから匂いがつくのは当然かも知れない。
「にゃー」
諭吉が鳴くと、他の猫達がニャゴニャゴ鳴き出す。
えっ?なに?と諭吉と猫達を交互に見る。
「碧は熱出して寝込んでると伝えたら、心配しよる。」
「えっ?そうなの?」
西島は諭吉を見る。
「この子らは兄弟ばい。親とこの公園に住んでたけど、親は春頃に病気で死んだんだとさ」
「えっ?……兄弟」
仲良しの猫達は兄弟だったのかあ。なんて改めて彼らを見ると確かに毛色が似ていた。
「そいと、にゃんこは親ば車の事故で亡くしてる。だけん、人間ば怖がる」
諭吉にそう言われにゃんこを見た。
にゃんこ、
そっか、そうだったのか……。
あんな小さいのに1人で生きてるのか?
泣きたくなるじゃないか!
「この兄弟らが面倒みよるけん心配すんなニッシー」
諭吉の言葉で涙目の西島は兄弟らを見て、
「そうか、にゃんこをよろしくな」
と言った。
兄弟らはニャゴニャゴ鳴きだす。
「一緒に寝たり遊んだりしよるけん安心しろって、そして通訳しよる諭吉にマグロば沢山やれと言いよる」
危うく頷きそうになった西島。
「待て!マグロはお前が付け加えた言葉だろ!」
と怒る。
「け、しけとお。ほら、にゃんこがごちそうさまげな」
諭吉はにゃんこの方角を見つめた。
にゃんこは、
「に~」
と鳴くとまた奥へと隠れた。
「な、何て言ったんだ?」
「ありがとう。」
ありがとう。
にゃんこ、 辛いのに、ありがとうとか、
本当に人間って駄目な生き物だ。
あんなに小さい子から親を奪って、
恐がらせて………ちょっとへこんでしまうじゃないか!
にゃんこが懐かない理由を知ってしまったんだから。
そりゃあ、恐いよなあ。
「ニッシー、そげんへこむな、あの子はニッシーと碧だけは好いとおけん」
「えっ?」
「兄弟らが言いよる、あの子はニッシーが優しい人間って話よるって、それと碧も。碧の事も優しかってさ」
兄弟猫達はニャゴニャゴ鳴くと、にゃんこが隠れた場所へと消えて行った。
「ニッシーに、にゃんこの面倒みるけん気にすんなってばい。よか大人が泣くなっち言いよる」
諭吉の言葉で潤んだ涙をゴシゴシと拭く西島。
「ほら、よおー見てみい、一緒に居るろ?」
諭吉は奥をじぃーと見つめている。
西島も同じ方向を見ると、兄弟猫とにゃんこが一緒に居る姿が見えた。
「あげんやって一緒に寝たりしよる、にゃんこは親はおらんけど寂しくは無かばい」
諭吉の言葉に西島は少しホッとした。
そうか、寂しくないか。
「じゃ、マグロば」
「やらんぞ!」
「ち、けちくされ!」
捨て台詞をはくと諭吉は西島のマンションの方角へと歩き出す。
西島も慌てて後を追うのであった。
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