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好きになってもいいですか? 8話
◆◆◆◆◆◆
仕事が終わるとスーパーへ直行した西島。
真剣に食材を選ぶ。
神林に教えて貰ったサイトに書かれている食材を探している。
生鮮売り場の前を通り、マグロの刺身が目に止まった。
マグロか‥‥‥
マグロ、マグロうるさい諭吉が頭に浮かび、手に取る。
マグロ、高いんだけどなあ。
ブツブツ言いながらマグロを買い物カゴにいれた。
だいたいの食材は探した。う~ん、留守番させたからな。
西島はスイーツコーナーで悩むのであった。
◆◆◆◆◆◆
碧の横に居た諭吉の耳がピクリと反応し、マグロぅ!と雄叫びを上げ、玄関に猛ダッシュ。
碧は西島が帰って来たのだと判断し、自分も玄関へと急ぐ。
碧が玄関へ着くと直ぐに鍵がガチャリと開く音がして、ドアが開いた。
「おかえりなさい!」
西島がドアを開けた瞬間、碧の可愛い笑顔と共に迎えられた。
おかえりなさい‥‥
可愛い笑顔に出迎えられた西島は顔が綻ぶ。
出迎えられたのは久しぶり。
悪くない。
「ただいま」
碧にニコッと微笑む。
「ちゃんと大人しくしてたか?」
靴を脱ぐと中へ進む。
「はい」
碧も西島の後を追う。
キッチンにスーパーの袋を運ぶと、
「マグロー」
諭吉が袋に向かって叫ぶ。
目ざといヤツめ!
西島は袋から食材を出しながら、
「佐藤、諭吉邪魔だから捕まえてろ」
と邪魔する諭吉を碧に押し付ける。
「諭吉、邪魔しちゃダメだよ!」
諭吉を抱き上げるが西島がマグロの刺し身を袋から出した瞬間、碧の腕からスルリと抜けた。
「マグロうぅ!」
叫びながら袋へとダイブ!
「あ、こら!諭吉!」
西島は諭吉を捕まえ、
「いい加減にしないと、マグロはやらんぞ!」
と、叱る。
「夕飯なんだから!全く!」
諭吉を碧へと渡す。
「す、すみません!諭吉はマグロ見るという事利かないんです。」
碧は諭吉の代わりに謝る。
「夕飯作るから佐藤は諭吉とテレビでも見てろ。」
西島は食材を全て出し切ると、着替えをしに別の部屋へ行く。
「僕も手伝います!」
西島の後を追いながら碧はもっと、積極的になろうと思った事を言葉にした。
「いいよ、座ってろ」
「だ、だめです!部長は仕事から帰って来たばかりですよ!疲れてるのに」
必死に訴えかける。
「佐藤だって、具合が、」
「もう、大丈夫です!熱だって下がっています。」
「どれ?」
熱は下がったと訴える碧の熱を探るべく、西島は自分の額と碧の額をピタリとくっつけた。
ひやぁぁぁっー!
碧は声が出るのを我慢した。
ぶぶぶ、部長!
間近に西島の顔。
まるで、キスするみたいな体勢。
額をくっつけた西島は自分が仕出かした行動に固まる。
碧の顔が間近にあるじゃないか!
額をくっつけていたのは2秒くらい。
西島は直ぐに離れて、
「あ、すまない!つい、」
昔、そうやって熱を計って貰っていたもんだから、つい、ついなのだ!
悪気もやましさもない。
「い、いえ」
碧の顔は真っ赤で熱があるんじゃないかと思うくらいだ。
ほんの、少しの間なのに長く感じた。
互いに意識するものだから微妙な空気が流れ2人とも、次の言葉が出ない。
「マグロうぅ!」
2人の緊張を解いたのは諭吉の雄叫び。
「飯だな、じゃあ、手伝って貰おうかな?」
西島は着替えを終えると碧とキッチンへ。
「まずは鍋を取って」
西島は鍋を指さす。
「はい!」
西島の手伝いが出来て嬉しい蒼のは元気良く返事をすると鍋を取ろうと手を伸す。
鍋は棚の上。
少しつま先立ちをし、よいしょと頑張って手を伸ばした。
その碧の姿を見て、西島は碧がシャツだけだった!と焦る。
シャツが上がり、下着がチラリ。
キッチンで色気振り撒かれたら気が散る!
鍋を取った碧は「はい。」と無邪気な笑顔で西島に渡す。
「あ、ありがとう。料理作る前にちょとこっちおいで」
碧を連れて寝室へ。
ガサガサと、紙袋を取り出すと中からスエットの上下を出した。
「ほら、着替え。私のはデカイだろ?」
西島はスエットを碧に渡す。
「着替え?僕にですか?」
「そう。今日買ってきた。あ、色とか嫌なら変えてくるぞ?」
「いえ!これが!これが良いです!」
碧は凄く嬉しそうに笑うとスエットをぎゅっと、抱きしめた。
嘘‥‥‥部長が僕に!
嬉しい嬉しい嬉しい!
きゃーっと叫びたいくらいに嬉しい碧。
「着替えあればまた遊びに来れるだろ?」
「え?」
西島が、今言った言葉‥‥‥
碧は幻聴かな?なんて思った。
「家近いんだろ?だから、また諭吉と遊びに来ればいい互いに1人暮らしだし、飯を1人で食べるより良いし‥‥佐藤がいやなら別に」
「嫌じゃないです!全然嫌じゃないです!」
碧は必死に叫ぶ。
西島が言った言葉は幻聴でも、何でも無かったのだ!
「あの、僕も、僕もそう思っていました!また、来たいって!」
夢を見ているんじゃないかって思う。
でも、これは夢ではない。
「良かった。じゃあ、着替えておいで。先に行ってるから」
「はい!」
碧は元気に返事をした。
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