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好きになってもいいですか? 11話
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西島に貰ったスエットのまま碧は玄関に居た。
自分の荷物も手にしている。
「じゃあ、僕、着替えてきます。おいで諭吉。」
呼ばれた諭吉は西島の足元をすり抜ける。
「いや、待て、‥‥‥‥諭吉はウチに置いて行っても良いぞ?」
「えっ?」
碧は驚き、西島を見る。
「さ、佐藤のアパートはペット禁止なんだろ?」
「えっ?あっ、はい。」
「見つかったら大変だろ?その点、このマンション はペット大丈夫だから」
「で、でも、迷惑が‥‥」
迷惑がかかるんじゃないかと碧は躊躇している。
「迷惑なんか、かからない。諭吉は大人しいし、利口だから悪さもしないだろうし、それに、どうせ、夕食は一緒に食べるんだから」
西島はそう言って、碧の側に居る、諭吉を抱き上げる。
夕食は一緒に‥‥‥!
西島の言葉に碧は嬉しそうに笑うと、
「はい!じゃあ、諭吉をお願いします。」
ペコリと頭を下げた碧。
「分かった。早く着替えておいで」
「はい!行ってきます」
もう一度、頭を下げると碧は西島に軽く手を降って玄関を出た。
「ワシをダシにしよって、マグロで手ば打つばってんな」
「な、なにを言って、べ、別にダシにしてない」
腕の中にいる諭吉に言い訳をする西島。
「良か良か、ニッシーは素直に言えんかったりするけん、まあ、上出来ばい」
「だ、だから、別に!」
かなり動揺しているのが諭吉に伝わるが当人は動揺しているなんて、思っていないのだろう。
「どうでも良かけど遅刻するばい」
「あっ、」
西島は我に返ると、バタバタと部屋に戻る。
◆◆◆◆
えへへ、
今日も部長とご飯が食べれる!
嬉しくて、足元がフワフワな碧。
部屋に戻ると、急いで用意する。
部長は優しい。
思い出しては顔がニヤニヤしてしまう。
西島に貰ったスエットを脱ぐのが勿体ないけれど、思い切って脱いだ。
あ、パンツ。
下着は西島の下着だ。
これは脱ぎたくないなあ。
ちょっと、大きいけど、このままで!
碧は下着はそのままにスーツに着替えた。
用意が終わり、外に出ると、
西島が碧を待っていた。
ぶ、部長!
スーツ姿で髪も会社で見る西島の姿。
ただ、雰囲気が違う。
碧を見て、ニコッと微笑んでくれる。
「部長!待っててくれたんですか?」
西島の元に走って行く碧。
「会社同じだろ?」
クスッと笑う西島が可愛い!
碧は嬉しくて、もう言葉にならない。
横に並び歩き出す。
西島は碧のスピードに合わせて歩いてくれている。
部長‥‥
凄くドキドキします。
西島の横、碧はドキドキしながら歩いて‥‥
西島部長‥‥‥、
僕、部長が、
部長が好きです。
好きになっても良いですか?
そう、心で呟く。
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