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好きがとまりません 2話
「えっ、えっ、いつ作ったんですか?」
碧が部屋に居た時間帯に作っているような動作は無かったはず。
「まあ。いいから食べなさい」
食べるように促すと碧は目をキラキラさせて、
「はい。いただきます!」
と、手を合わせた。
朝早く起きて作ったなんて言うと、碧が気にするかな?なんて、考えた西島。
こんな風に嬉しそうな顔を見れるだけで西島は作って良かったな。なんて、思う。
全く‥‥‥この2人は可愛い!
神林は西島と、碧を見ながら笑いをこらえていた。
碧は態度で西島が好きだと手に取るように分るし、西島も。‥‥‥だが、やたらと否定しまくりでそれがまた、可愛いと感じる神林。
両思いのくせに、互いは気付かない。
西島は、こんなに穏やかな顔できんだな。
コーヒー飲みながらシミジミと思う。
碧ちゃんを溺愛しそうだな。
それをたまらなく見たいー!
お節介でも焼こうか?なんて密かに企む神林だった。
「やっほー!」
佐々木が顔を出す。
途端に西島が露骨に嫌そうな表情を見せ、神林はまた笑いを堪える。
本当に西島は分かりやすい。
「やっぱ、碧ちゃん居た。」
佐々木はニコニコ、いや、ニヤニヤしながら碧の側に来た。
「佐々木部長お疲れ様です」
食べるのを止めて佐々木に挨拶をする碧。
「はい。快気見舞い」
碧の前に小さい箱を差し出す。
えっ?と首を傾げる碧。
「ケーキだよ。オヤツに食べて」
「えっ?いいんですか?悪いですよ!あ、この前はお見舞いありがとうございました。」
深々頭を下げる。
「いいんだよ、碧ちゃん元気になって良かったね」
佐々木は碧の頭を撫でる。
神林はニヤつきながら西島を見る。
神林の期待通りにムッとする西島。
「佐藤、佐々木はほっとけ!」
撫でる手を振り払う。
ヤキモチ!
西島!お前、可愛いぞー!
ニヤニヤが止まらない神林であった。
「ねー、ねー、碧ちゃん、仕事終わったら食事行こうよ。」
佐々木は西島に嫌そうな顔されても、気にせずに碧を誘う。
「いや、あの、僕、」
「佐藤は行きません!用事あるんだよな?」
西島は返事に困っている碧に助け舟をだす。
「は、はい!」
西島が言った用事は自分と夕食を取る事。
碧はちょっと、幸せな気分を味わう。
「えー、用事って何?西島は知ってるんだよな?ズルいぞ西島!」
ジロリと睨まれた西島は余裕な顔で食事を続ける。
佐藤と2人で食事なんか行かせるかよ!何されるか、分からない。
西島の心の声はもちろん、佐々木にも誰にも、聞こえてはいない。
◆◆◆◆◆◆◆◆
退勤の時間なんてあっという間で、
西島は先に碧を駅に向かわせ、後から落ち合う約束をする。
佐々木や斉藤に見つかったら絶対に自分達も混ぜろと、言ってくるに違いないと踏んでいた。
駅を降りたら直ぐのスーパーに一緒に買い物をしに行く。
なんだろう?
顔が自然にニヤついているように感じる。
足取りも心なしか軽いような?
何時もと違う自分を感じるながら西島は早足になる。
碧の姿が見えてきた。
ジッと自分を待つ姿が可愛い!
西島に気付き、嬉しそうな顔を見せた。
部長と、待ち合わせ!
わあぁ、なんだかデートみたい!なんて、思っちゃってごめんなさい!
碧はドキドキしながら西島を待っていた。
遠くに西島の姿が見えて、凄くドキドキが高まり、嬉しさも高まる。
碧の方に歩いて来た西島が、
「悪い、少し待たせたな」
なんて、言って来て、まさにデートっぽい!
「いえ、全然!」
碧もデートっぽく返してみた。
「行こうか」
西島は碧に笑いかけると歩き出す。
もちろん、碧の歩くスピードに合わせてくれる。
帰りも一緒に帰れるなんて、夢のようだった。
電車に一緒に乗り、隣に並び他愛無い話する。
毎日、これならいいのに!碧は密かに願った。
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