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好きが止まりません 3話

◆◆◆◆◆ 碧がカートを押して、西島が食材を選んで入れて行く。 西島の後をちょこちょこ着いて行きながら、碧はニヤニヤが止まらない。 えへへ、カップルみたい! 周りを、見れば結構カップルが一緒に買い物をしている。 きっと、部長は普通の買い物だろうけど、僕には‥‥‥えへへっ。 ちょっとだけ、幸せ満喫させて下さいね。 後をちょこちょこ着いて来る碧を気にしながら食材を選んでいる西島。 碧がひよこみたいで可愛い‥‥‥なんて、考えてしまう。 やばいなあ。 一昨日よりも、昨日よりも、可愛さが増している。 本当にやばい! 生鮮売場でマグロを手にする。 諭吉がマグロ!っと、叫ぶだろうから、カートに入れ込む。 「諭吉にですか?」 「うん、そうだな」 「あ、あの、お金払います。昨日のスエットのお金も」 「ばーか、そんなの気にするな!私が勝手にやってるんだから」 西島はニコッと笑い、歩き出す。 部長‥‥‥ へへっ、ばーか、‥‥‥とか、 部長は笑うと可愛いですね。 碧も西島の後を着いて行く。 ◆◆◆◆◆◆◆ 「僕も荷物持ちます」 スーパーの袋を3つ提げている西島に声をかける碧。 「いいよ重いから」 「だ、ダメです。持ちます」 袋を1つ無理矢理奪う。 「重くないか?」 「平気です!」 ニコッと笑う碧。 ああぁぁ、もう!可愛い! 少しヨロヨロしながら歩く姿もたまらなく可愛い! 坂道を上がり、公園に差し掛かる。 猫達が碧を心配していたのをふと、思い出し、 「ちょっと、いいか?」 と、公園の方へ歩き出す。 あ、にゃんこ。 そうだ、部長は僕まと同じく餌を与えてたんだ。 まさか、一緒に公園に来れるなんて思っていなかった。 にゃーん 公園に入ると猫達が近付いて来た。 西島はゴソゴソと、袋から餌を出す。 ちゃんと餌を買っていたんだと碧は微笑む。 「部長も公園の猫達に餌を与えていたんですね」 「佐藤も、だろ?」 「えっ?」 何で知って?なんて思ったけど、 「部長も、って事は自分も、だから」 ニコッと微笑まれ、あぁ、そうか、と笑って返した。 まさか、諭吉に聞いた‥‥なんて言えない。 でも、前は碧とも話していた。と言っていた。 碧はその事をまだ覚えているから話し掛けているんだろうけど‥‥ 「佐藤、諭吉は」 「はい?」 「‥‥‥‥‥マグロ、本当に好きだよな」 話せるだろ?って、聞きたかったのに、言葉を飲んでしまった。 「はい。マグロ大好きなんです」 ニコッと笑う碧。 諭吉が寂しがっているよ。って、いつか、伝えられたらいいのに。 ◆◆◆◆◆◆ 「ただいま!」 「マグロぅ!」 玄関を開けて声を掛けた瞬間、まるでしりとりか!って、くらいにただいま、マグロ!だった。 諭吉が玄関で待ち構えていた。 「ただいま諭吉」 碧は袋を置くと諭吉を抱き上げる。 「にーっ」 喉を鳴らし碧に擦り寄る諭吉は普通の猫にしか見えない。 「マグロマグロうるさいから奥に連れて行きなさい」 「はい。お邪魔します」 碧は諭吉を抱いたまま靴を脱ぎ部屋へ上がる。 ◆◆◆◆◆ 西島は着替えながら、ある事に気付く。 碧の着替えがない! シャツを汚してもダメだし、なによりもスーツじゃゆっくり出来ない。 あ、いかん!着替え何枚か買えば良かった! なんて、考えてハッとする。 まるで、碧を泊めるみたいな? いや、べ、別にやましくない! 飯食うだけだし、諭吉と遊ぶ時にスーツに毛がつくじゃないか。 うん、そらだけの事。やましくない! 自分自身を納得させて、 「佐藤、また私ので悪いけど着替えなさい。スーツに諭吉の毛がつく」 碧を呼び、自分のシャツを渡す。 今度はちゃんと下もだ。 目のやり場に困るといけない。 「えっ?いいんですか?」 碧は目をキラキラさせて喜ぶ。 また、部長の服が着れる。 「スエット、ここに持って来て置いたらいい。私のはデカイし、どうせ、一緒に飯食べるし」 い、いま、なんて言いました?部長! 一緒に‥‥ 明日も明後日もここに来ても良いんですか? どうしよう!凄くうれしいです。 「はい。持ってきます!」 自分でもビックリするくらいに即答出来て、いつもなら遠慮してしまうのに、積極的! 部長マジックですよ。 部長が僕を違う自分にしてくれています。 碧の返事を聞いた西島は、自分で、物凄く大胆な事を言ったと驚いた。 次の約束よりも大胆な、ずっとを意味する言葉。 着替えを持って来いだなんて、お泊りも誘っているような‥‥‥ うわあぁぁー!違う!やましくない! 断じてやましくない! オロオロしそうなのを懸命に押さえつけ、 「じゃあ、飯作るから着替えておいで!」 と、そそくさと逃げた。 碧は西島の香りがついたシャツをぎゅと抱きしめ、夏姉ちゃんに、後から報告しよう!と考える。 ◆◆◆◆◆ 「ニッシー、その調子ばい!やれば出来るやん」 キッチンに立つ西島の足元に諭吉が擦り寄って来た。

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