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好きが止まりません 4話

「な、なんのことだ!」 「この調子で頑張れよニッシー!」 諭吉は長い尻尾で西島の足をパシンっ、と叩く。 ね、猫にからかわれている‥‥‥‥。 落ち込みそうになるのを堪える西島。 ◆◆◆◆ 「美味しいです」 出来上がったハンバーグを美味しそうに食べてくれる碧。 もう、それでお腹いっぱいになりそうな西島。 碧の足元ではマグロをガツガツ食べる諭吉。 なんだろう?落ち着く! ずっと、こうだったような感覚さえ覚えるくらいに碧も諭吉も、この部屋に馴染んでいる。 だから、 「明日は何食べたい?」 って、口にしてしまった。 明日! 部長、やっぱり明日も来て良いんですね。 「明日はオムライスがいいです!」 嬉しすぎて、図々しいかな?なんて考えれなかった。 元気にリクエストをしてしまった碧。 「いいよ」 ニコッと微笑んでくれる西島。 神様!僕は凄く凄く幸せです。 ◆◆◆◆◆◆ 食事が終わると碧も片付けを手伝った。 でも、碧は時計が気になり始める。 泊まりたい。なんて、まだ、言えるわけもなく、時間が過ぎていくのを止めたいと真剣に思う。 テレビを見ていても気になる。 ダメ、ダメ! こんな時間も貴重なんだから! リビングにソファーはひとつ。 そう、せっかく、同じソファーに座ってテレビを見ている。 凄く貴重な時間。 ドラマを見ているのだが、碧は半分以上は見ていなかった。 あぁ、やばいなあ。 西島は碧とは違う意味で気になる事があった。 ドラマの流れがベッドシーンになりそうなのだ。 キスがやたら長い! 碧に見せて良いものかと思ってしまうのだ。 急にチャンネル変えると意識していると思われそうだし。 くそ!なんで、ドラマなんて見てしまったんだよ! バラエティ番組とかあるだろう! ソワソワしている内にベッドシーンに突入。 下になっている女優がエロい声を上げだす。 うわあぁ! チャンネル変えるか? と、思った瞬間。 肩に重みを感じた。 碧が西島に寄り添ってきたのだ。 のわあぁぁー! さ、佐藤!どうした! 肩に感じる碧の体重と体温。 ま、まさか、佐藤!挑発されたか! い、意外と大胆だな。 あ、いや、違う! そういえば、佐藤は寝ぼけながら好きって言ってきた。 あれは、恋愛感情の好き? ど、どうしよう! やばいくらいに心臓がウルサイ! 碧を意識しだしたら心臓が激しく脈打つ。 ‥‥‥‥‥どうしたら良いのだろう? 俺は佐藤をどうしたい? 夜遅くまで部屋に居させて、エロいドラマみせたらいくら子供な佐藤でも影響されてしまうよな? それじゃあまるで謀ったみたいじゃないか? 大人のやり方じゃないよな? それに、佐藤! こんな襲って下さいといわんばかりに、タイミング良く寄り添って‥‥‥これが佐々木なら食われているぞ! そうだ!注意しなければ! 俺は佐々木と違うぜ! 「佐藤‥‥‥あ、あのさ、」 うぅ、何て言えばいい? 言葉がでない。 「佐藤、ほら、俺達まだそんな‥‥‥ね?」 「‥‥‥‥」 碧は返事をしない。 あぁ、大人の対応を待っているのか? でも、もし‥‥‥‥ もし、‥‥‥‥触れていいなら、 佐藤がいいなら。 俺だって、男なんだ!ばかたれーっ! 西島は碧の肩をギュッと掴み彼を押し倒そうとした。 が、 あら? 碧は熟睡中。 ‥‥‥‥‥‥‥‥!! ああぁぁ! 俺のばか!ばかばか! そうだよ佐藤はそんな子じゃない。 少しホッとしまった。 俺が知っている佐藤だ。 俺が好きな‥‥‥‥‥‥‥‥ あれ? 俺、今、なんて言った? 好き?とか? 佐藤を好き? 熟睡中の碧をジッと見つめる。 無防備に眠る碧。 こんな子供を? あああ! 俺はいつからショタコンになったんだー! 変態じゃないか!佐々木の事言えない。 でも、佐々木には触らせたくない。 今日もムカついた。 触りやがって!佐藤の頭を撫でたり、笑顔にするのは俺だけでいいんだよ! もう‥‥‥‥‥ くそ! 俺は佐藤が好きだ。 変態でいい! 好きなんだから、仕方ないだろ? 西島は碧の身体を抱き上げると寝室へ運んだ。 ベッドに寝かせ、アタマ撫でる。 「おやすみ」 そう言って部屋を出た。 で、風呂場へ直行。 下半身がギンギン! あのまま、碧が誘っていたら確実に抱いてた。 頭を冷やそう。 あぁいうのは合意の上でやらなくちゃ。 佐藤は経験ないみたいだから。 経験‥‥‥ そうだよ!佐々木が狙っている。阻止せねば! ◆◆◆◆◆ 西島の決心と決意と、芽生えた恋愛感情を知らずに碧はシーツの中、モゾモゾと動く。 「にゃーん」 諭吉がシーツの中、入って来た。 「諭吉‥‥‥寝た振りしちゃった。だって、帰りたくないんだもん」 碧は帰りたくない一身で寝たふりを決行。 見事に成功させた。 「諭吉、僕、部長が好きなの。好きって気付いたらドンドンわがままになって、ずっと、一緒に居たいって思っちゃうんだ。こんな僕、部長は嫌いかな?」 諭吉を抱きしめて恋に悩む碧であった。

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