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逃げてばかりではダメなのです。 21話
「斉藤の両親……よく許してくれたな。いきなり息子がオッサン連れてくるから驚いたんじゃないか?」
「ゆうちゃんはオッサンじゃありません!!好青年ですよ!うちの両親がそう言ってましたもん」
「好青年……詐欺師だな、アイツ」
佐々木は人に好かれやすいのは西島も知っている。人当たりか良いというか上手いのだ。
「確かに……男性連れてくるとは思ってはいなかったみたいですけど、俺、昔っからチャラ男でしたから女の子とっかえひっかえで……まあ、それも親は心配してたみたいでマトモにしてくれてありがとうございますってゆうちゃんにお礼言ってました」
斉藤の言葉に……確かにコイツは女の子を良く誘っていた。顔も可愛いから女の子が直ぐについていく。碧に悪影響与えないか心配するほどだった。
佐々木は凄いかも知れない。チャラ男を惚れさせて結婚まで。
「ゆうちゃん……俺を幸せにしますって頭下げてくれて……親を説得してくれたんです」
斉藤は幸せそうな顔を見せる。
初めての頃のチャラ男はどこへやら。幸せいっぱいです。という表情になっている。
恋愛って人を変えるんだなと西島は思う。
自分もそうだから。碧に出会って今まで忘れていた物を少しづつ思い出して、持っていたなかった物も手に入れてきた。
「良かったな、おめでとう」
西島はポンと斉藤の頭に手を乗せてクシャクシャと撫でた。
いきなりな頭クシャクシャに斉藤は息を飲む。
西島が凄く可愛い顔で「良かったな、おめでとう」とか!!
なんすか部長おおお!!可愛いやないですかあ!!と斉藤は心で叫んだ。
◆◆◆◆
斉藤が課に姿を現すと「斉藤くん!!」と皆が彼を囲む。
「おめでとう」
女子社員が拍手をすると男性達も一緒におめでとうコールをしてくれた。
「あ、ありがとうございます」
照れた顔で斉藤は頭を深々下げる。
「新入社員が先に結婚するとか……焦っちゃうから止めて」
冗談まじりに女性スタッフが斉藤の背中を叩く。
「すんません」
笑いながら謝る斉藤。
「でも、ビックリだよ!佐々木部長と」
「佐々木部長って凄い人気あるんだよ?1番はうちの西島部長だけど」
女性達の話に碧がソワソワしている。
1番人気が西島部長。分かっているけど、実際に言葉にされるとソワソワしてしまう碧。
ちひろさんが1番人気……!!
うん、だってカッコイイですもん!!
そんなちひろさんと僕は恋人同士?うわあああ!!凄い!凄いよねえ!
碧は興奮していた。人気の西島部長と一緒に暮らし、しかも親公認の恋人同士。
「あの、俺、ちょっと行くとこあって」
斉藤は自分を囲むスタッフ達を押し退け、碧の手を引っ張り廊下へと出た。
「星夜くん?」
手を引っ張られて歩く碧は斉藤にどうしたの?顔で声をかける。
「神林先生とこいこ!」
「はい!」
斉藤が外へ出た理由は囲み質問が苦手なのと、西島部長が人気だと女性スタッフが言ったので碧が気にするかな?と思ったからだ。
モテる恋人の話題を女性にされると気が気ではない。自分がそうだから。
佐々木の話題を女性にされるとヤキモチを妬いてしまう。
人気あるのは嬉しいけれど、ちょっかいをかけられてしまうのではないと余計な心配をしてしまうから。
佐々木はそんな事はしない分かっていても、心がついて来ない。それがめんどくさいのだ。
なので、碧にそんな心配させたくなくて連れ出した斉藤の優しさだった。
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