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二学期-2

かっと顔が熱くなり、心臓が激しく動悸する。それを自覚して動揺する。 あいつがとんでもなく下半身が緩くて、付き合ってもない女と寝ていることなんて、仲良くなる前から知っていた。なのになんで今さら…。 「ごめん水原ー、麦茶もう無かったからカルピスでいー?」 呑気な声と同時に、いきなりドアが開いた。ベッドをじっと見つめていた俺は、驚きで飛び上がる。 「なにびびってんの」 「…別に」 「なんか顔赤くね?」 「…っ、赤くない!」 「ふーん?」 芦澤がにやにや笑いながら顔を近づけてきた。反射的に後ずさると、さらに近づく。 「なになに、ベッドの下にやらしいモノ隠してないか探してた?」 「するか!」 「じゃあ~ベッド見ながらやらしいこと想像してた?」 「…バカか!」 ぷっと芦澤が噴き出す。 「分かりやすー。お前がバカって言うとき絶対ウソなんだよな」 また顔が火を噴きそうに熱くなる。 あーもう、なんとかしてくれ。 「なあ、お前ってさー」 じりじりと顔を近づけてながら芦澤が言う。 「…なんだよ」 「キス、したことある?」 息が唇にかかり、ぞくりと首筋あたりが粟立った。 「…ねーよ。お前と違って身持ちが固いからな」 なんとかいつもの調子を取り戻したくて、いつもの憎まれ口を叩いてみる。が、効果はない。

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