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卒業式-2

自分の名前が呼ばれ、機械的に足を動かして証書を受け取り、そのまま退場の列に加わる。体育館を出て、渡り廊下を行く。 一番前に、俺の目をひきつけて離さない背中。振り返らない背中。 俺の脳裏に、全く別の方向からやってきて一瞬だけ交差し、それからまた全くの別方向へと離れていく二本の直線が浮かんだ。 もう二度と交わることのない、俺と悠人の人生。 ―嫌だ。 こみあげるように、思った。 嫌だ、もう二度と悠人に会えないなんて。 俺はなんて馬鹿だったんだろう。 俺にとってあいつはこんなにも大きい存在になっていたのに、どうして自分から突き放すようなことをしてしまったんだろう。 右手に持った卒業証書を握りつぶし、二ヶ月前の愚かな自分を呪った。 もう二度と話せないなんて嫌だ。 もう二度と顔を見れないなんて嫌だ。 もう二度と触れあえないなんて嫌だ。 もう一度、悠人が俺を見てくれたら、 もう二度と、悠人から視線を逸らしたりしないのに。 もう一度、悠人が俺に笑いかけてくれたら、 もう二度と、裏腹な言葉で悠人を怒らせたりしないのに。 友達と写真を撮っている横顔に、心の中で呼びかける。 なあ、悠人。 もう一度、お前が俺の手をとってくれたら、 もう二度と、裏切ったりしないから。 もう一度、お前が俺を抱きしめてくれたら、 もう二度と、離れたりしないから。 だから、どうか、こっちを向いてくれ。 素直になれない俺が馬鹿だったんだ、許してくれ。 なあ、悠人――

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