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卒業式-4

ふ、と悠人が微笑んだ。 「…知ってる」 次の瞬間、声をあげる間もなく抱きすくめられた。 久しぶりの感触に、震えが全身を走る。でもそれは寒さではなく、温かさだった。 ずっと触れたかった背中に、そっと手を回す。 「俺もだよ、俺も好きだよ…樹のこと」 「…そうか」 「お前に拒絶されて、死ぬほどつらかった。ずっとずっとつらかった」 苦しげにうめいた悠人が、俺の肩に額をこすりつけた。その吐息が俺のシャツの胸を熱く湿らせる。 ごめん、と呟くと、悠人も、ごめん、と謝ってきた。 「余裕がなくて、お前の態度にカッとして、売り言葉に買い言葉で…めちゃくちゃ後悔したけど、したのに、何もできなかった…」 「俺だって…お前はもう俺なんか忘れてどっかの女と付き合ってんだろうなとか思って、怖くて声もかけらんなかった」 すると悠人が小さく噴き出して、「そんなわけないじゃん」と言った。 「俺、お前に振られてから、ちょー枯れた生活してたんだからな」 「嘘だ。女大好き男芦澤悠人ともあろう者が」 「本当だよ。てか俺、お前のこと好きになってから一回も女の子抱いてないからな」 「えっ」 思わず目を見張る。びっくりだ、女の子抱いてないなんて、いやその前に言ってた言葉、何だった? 確か… 「…は? 好き?…いつから?」 呆然として訊ねると、悠人が頬を赤くした。 「最初にお前に声かけた時だよ」 ってことは、一学期か?そんな前から…?

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