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食糧兼恋人…ってことでいいのか?
3月と言えども、まだ寒い。
一時間半も待っているだろうか…。
体育館裏に行くと、桜の木があって、その下に葵ちゃんがいた。
いつものポニーテール姿。
視線を下に落として、俺を待っていた。
「葵ちゃん!」
「片桐くん」
葵ちゃんは俺を確認すると優しく笑いかけてくれた。
「ごめん!呼び出しといて遅れて…」
「いいよ。桜も綺麗だし…高校の思い出も思い返してたんだ」
葵ちゃんは桜を見上げた。
やっぱり葵ちゃん、かわいいな。いい子だし。
「葵ちゃん!俺…」
そうだ。俺、葵ちゃんが好きだ。
好きって言わなきゃ。
それなのに、ちらつくのは冬馬の顔ばっかり。
ちくしょう…。
『この15年間の想いは本当だから』
15年間。
長い長い間、あいつは俺のことを想ってたんだな。
どんな気持ちであいつは、俺の隣にいたんだろ。
それを考えると、俺は胸が切なくなった。
「……ごめん。葵ちゃん、俺、告白しに来たんだけど、やっぱりごめん。言えなくなった」
俺は思いっきり、頭を下げた。
呼び出しといて遅刻して、挙げ句ごめんなさいって本当に訳わかんねぇ。
殴られても文句言えない。
「ありがとう」
葵ちゃんは思いもかけない言葉をかけてくれた。
罵られることは覚悟していたが、まさかお礼を言われるとは思っていなかった。
「好きでいてくれて、ありがとう」
葵ちゃんは、にこりと笑った。
「お互い別々の道を歩んでいくけど、頑張ろうね」
葵ちゃんは天使だ。
こうして俺は、童貞を卒業したものの、恋は実らず、大学へと進学した。
まさか大学まで冬馬と同じだと思わなかった。
今、隣で同じ講義を受けている。
相変わらずのダサ男っぷりだが。
一旦夜になって冬馬の家に行くと…
「あぁ…ん!瞬ちゃん…っすきぃ…!!」
「あんまりおっきな声出すな!俺の親に聞こえたらどうするんだよ…!!」
絶賛お食事中である。
毎日毎日これでは身が持たないような気がするが、一旦寝ると次の日には復活を遂げている。
サキュバスってそんな力があるのか?
倉庫でやったみたいに、冬馬が攻めるスタイルではなく、俺が攻めるスタイルに変えた。
その方が燃えることがわかった。
「でも…っ声…!抑えられ、ないぃ…!!」
「んぅ…っ冬馬!イクっ、ちゃんと満腹になれよ…っ!」
「…っうん!瞬ちゃん…俺にごはん、ちょうだいぃ…っ!」
俺は冬馬の中に大量の精液を注ぎ込んだ。
冬馬はのけ反りながら、俺の精液を受け止めた。
「……お前、絶対他の奴にはこんなことさせるなよ」
「させないよ。俺には瞬ちゃんだけだから」
蕩けた笑顔でそう囁く冬馬が「可愛い」なんて思うのは、きっとサキュバスの能力のせいだ。
きっと、そうなんだ…よな?
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