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第287話Made me⑥
このまま声を出したりしたら間違いなくバレる。俺たちの関係どうこうという問題ではない。
『いないのか…絆創膏借りまーす』
絆創膏なんてさっさと取って出ていけ。そう思っていると、耳元でハルがくすぐるような声をかけてきた。
「イキたかったら今イッていいよ」
まさか、嘘だろ。俺のその思いに反して、ハルは指を増やし擦りつけてくる。両手で口を押さえ、枕に突っ伏すような格好で小刻みに震えた。
カーテンの向こうから聞こえる棚から救急箱を取り出す音、絆創膏の包装を剥がす音、一つ一つに緊張してしまう。
「勇也の気持ちいいところ、ここ?」
前立腺を責められ、体が跳ねるとベッドの軋んだ音が響いた。保健室から出ようとしていた足音がピタリと止み、冷や汗が垂れる。まずい、ここに誰かいることがバレてしまった。
けれどそれくらいじゃ普通中を覗いたりはしないだろう。
そう思ったのもつかの間、ハルのもう片方の手が服の上から胸の突起を擦り始めた。咄嗟にその手を退けようと掴んでしまい、代わりに抑えきれなかった声が漏れる。
「…っあ、やだ…だめ…」
もう口を押さえに行く暇もない。ハルの手は容赦なく中と胸を刺激して強制的な快感を与えてくる。このまま気づかれてしまったらどうすればいいのだろう。
『誰か、いるんですか…?』
まるで幽霊か何かの存在を察知してしまったかのように外の生徒は恐る恐る声をかける。けれど俺は快感に耐える艶かしい声を漏らすことしかできなかった。
「あっ…んん…ん、んっんぅ!」
服と擦れて胸の突起は硬くなっていく。未だに生徒が外へ出ていく気配もなかった。
今はウィッグも被っていないから俺だということがバレバレなのに、もしも見知っている人物だったらどうするつもりなんだ。
そんなことを考えても、気持ちよさにすぐ思考は溶かされてゆく。
「勇也、イッていいよ」
「やだ、やっ…あぁっん、あ、あ、あん、あっ」
声が抑えられないくらいに気持ちいい。もうどうにでもなれと理性を手放しそうになる。けれど、カーテンに人の手がかかったのを機に再び現実へ引き戻された。
それなのに体は余計に気持ちよくなってしまう。このままじゃ達するところを、恥ずかしい姿を見られてしまう。いつからこんな体になってしまったのだろう。
「おねが…見ない、で…みな…で!やだ、やだぁっ…あ、もう、いっ…あぁっあ、ん!」
カーテンに触れていた手はパッと離れて、パタパタと焦ったように去っていく足音と勢いよく扉が閉められる音が響いた。
この姿は見られずに済んだものの、だらしのない嬌声はばっちりとカーテンの向こうに聞こえていたはずだ。
「さっきの子、勇也の声で抜いてるかもね」
「さい、てい…ばか、へんたい」
「勇也だって人に見られるかもしれないのに抑えきれずに喘いでたじゃん。そんなに気持ちいいの我慢できなかった?」
「それはお前が…!」
抗議の声はハルの唇に吸い取られる。怒っていたのに、キスで誤魔化されてしまった。
確かに見られるかもしれないのに我慢できなかったのも、やめて欲しくないと肯定したのも自分だ。だからなにか言えば逆に恥ずかしいところを指摘されてしまいそうで、ただ顔を赤らめて俯いた。
「そろそろ戻る?…ああ、そんなになってたら無理か」
「あっ…触ん、な」
スカートを押し上げるように主張する自分のものをハルに撫でられ、ビクンと腰が跳ねる。
「勇也の俺が抜いてあげるから、勇也は俺のどうにかして」
「どうにかって…」
「口でしてほしいって言ったら怒る?」
「怒る…」
ハルのやれやれと言った溜息にイラつく。溜息をつきたいのはこっちの方だ。
ハルは再びスカートの上から俺のものを撫で回して刺激を与える。
「や、めろ…って…んっ」
「このまま衣装汚しちゃったら皆の前戻れないね」
「ふざけ…んな…ばか、離せ!」
ハルの意地悪に負けたくはないが力で適うはずがない。引きはがすことが出来ず、諦めてハルのスカートを思い切り捲った。
「あはは、大胆だねぇ」
「うるせぇハゲ!」
「まだ禿げてないもん」
ハルのものを凝視していると、一度ベッドから降りるように指図される。
「立った方がやりやすいでしょ。勇也もスカート持ち上げといて」
しゃがんで片手で自分のスカートを持ち上げる。それだけでも恥ずかしかったが、メイド服を着たハルのものを舐めるのはいつもより何故か背徳感があった。
「ん…んう…」
ハルのものを口に含む。嫌なはずなのに、ハル相手だとどうもこの行為にまで興奮してきてしまう。
「勇也、興奮してる?」
「んっ、ん!んんっ…!」
ハルの足が俺のものを下着の上から擦り始めた。確かにスカートは上げているから汚れないかもしれないけれど、このままでは下着が汚れてしまう。
「勇也すぐにイッちゃうから、優しくするね」
「ん、んぐっ…んぅ…!」
ハルの匂いが口に充満する。その匂いで熱くなった体は、簡単にハルの足で達してしまいそうだった。
その時、再びドアが開けられる音がした。ハルは咄嗟にロングスカートの中に俺を隠す。ベッドの向かいに立っているから、カーテンを開けられても見られるのはハルだけだ。
『あれ…誰かいるの?』
カーテンはすぐに開けられた。それもそのはずだ。この声は物腰柔らかな中年の女性、うちの養護教諭の声だからだ。
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