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第290話Thrill②
二日目の一般公開に備えて、ある程度の片付けをしてから各自解散することになっていた。
メイド服が思った以上の人気で、女子からも男子からも関係なく写真撮影を頼まれる。そのせいもあってかなかなか着替えることが出来ずにいた。
ようやく調理室の片付けもひと段落ついて帰れそうになった頃、俺はハルが近くにいないことに気づく。
「なあ…その、小笠原…見なかったか」
クラスメイトにハルのことを聞くのもなんだか恥ずかしかったが、声をかけた生徒は何かを察したように笑った。
『あ〜二人で帰るんだな?遥人なら多分、生物室とかその辺りで着替えてると思うよ』
「…わかった、サンキュ」
何故わざわざ離れたところで着替えているのだろうと思ったが、俺とハルの着替えは確かそのあたりの教室に移動したと聞いていたからそのためだろう。
生物室のドアを開けると、夕陽が差し込む窓辺でハルが制服に着替えていた。
「ハル…お前、よくも…」
「え?なんの話?」
「とぼけんなクソ!」
被っていたウィッグを投げると、ハルは華麗にそれを避ける。舌打ちをしてからハルの元まで詰め寄って睨みつけた。
「返せよ…下着」
「あ、そっかノーパンだったね」
「うるせぇ!いいから返せ!」
「どうだった?もしかして興奮しちゃった?」
「っ…んなわけ、ねえだろアホ」
実際俺の体は危なかった。ハルの匂いの件も大きいが、中に何も着ていない状態でスカートを身につけていると、その背徳感と緊張感でおかしくなる。どうしようもなく体が熱くて、誰かにバレたらと思うと気が気でなかった。
「勇也、そういう素質あるよね」
「素質ってなんだよ…んんっ!やめろバカ、変態!」
ハルに太ももから際にかけて撫でられ、咄嗟に距離をとる。その際、ハルが俺の方へぐっと寄ってその胸に俺を抱きしめた。
まずいと思ったけれどもう遅い。さっきよりも色濃くなったような気のする香水の匂いが、自分の脳内を犯してゆく。
したい。ハルが欲しい。いやだ、こんな自分はおかしい。自分は変態なのかもしれない。けれど体は否定すればするほど正直に快感を求め始める。
「あっ…はぁ…あ…はる…」
「どうしたの、抱きしめただけなのに」
「やだ…はな、せ」
「離れようとしてないのは勇也のほうだけど」
そう言われてようやく気づいたが、いつの間にか俺はハルの背中に手を回してシャツをぎゅっと握りしめていた。息が上がり、思考がぼんやりしてくる。
変な薬を使われた訳でもないのに全身がハルを欲していた。
これがトドメだとでも言うように、ハルが顔を傾けてゆっくりとキスをしてくる。
拒めるはずもなく、無意識のうちにハルの舌を必死に絡めとって追っていく。キスだけなのに気持ちよすぎてこれだけで達してしまいそうだ。
「あっ…あぁ…はる…も、むり…」
「何が無理なの?」
「我慢、できな…んっ」
空き教室だからといってここに誰も来ないとは限らないのに、学校で盛ってアホみたいだ。
それでもハルが欲しい。今すぐにこの疼きを治めてほしかった。
「うん、じゃあ家帰ったらいっぱい可愛がってあげる。着替えておいで」
「え…あっ…」
違う。今すぐだ。今すぐにハルの熱を体に感じたい。
どんなにふしだらで恥ずかしい行為だとわかっていてももう気にしていられない。このままにされたら狂ったように自慰でもしてしまいそうな程だ。
「い、やだ…はる」
「ん?どうしたの」
「今、すぐ…お前が、欲しい」
ハルは最初から俺がそう言うと分かっていたみたいに意地悪く笑って、ゆっくりと俺の体を机の上に倒した。
「勇也は堪え性の無い子だね」
「なんでもいい…から、はやくしろ」
「はいはい、解すからじっとしてて」
唾液に濡れたハルの指が中に入ってくる。保健室でのこともあってかその指は二本一気にすんなり入った。
「ゆ、び…やだ、はやく…はる」
「…俺の方も我慢できなくなっちゃったかも」
ある程度中を掻き回すと、その指はすぐに抜かれてハルの熱いものが宛てがわれる。
けれどそのまま入ってくる気配はなく、焦らすように入口を擦った。
「あっ…あ…なに、して…」
「せっかくメイド服着てるんだし、もっと可愛くオネダリしてほしいなぁ」
「そん…な、やだ…はやく、はや、く…」
何故か泣きそうになりながら早くと懇願する。こんな時までハルは俺をいじめたがるのか。
「ご主人様って呼んで」
「いやだ…はやく、ほし…」
「呼んでくれたらちゃんと入れてあげるから」
「…ご、しゅじ…さま」
ハルのバカ。後で絶対にぶん殴ってやる。
自分がどうしてこんなにハルを欲しているのか分からない。恥ずかしいのを我慢しながら欲しいと言ったのに、更にこれ以上の辱めを受けるなんて。
「うん、それでどうして欲しいの?オネダリしてごらん」
「…はやく、なか…いれて」
「もっと丁寧に言わなきゃダメでしょ」
「お、ねがい…します、中に…いれて、くださ…ごしゅじんさま…」
力を振り絞って精一杯そう口にして全身を真っ赤にする。
それなのにハルはまだ納得いかないといったような表情をしていた。
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番外編更新しました
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