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第318話Itch②
「待っ…ちが、そこじゃな…あっ!」
薄手のゴム手袋の感触の違和感と同時に、またあのクリームが自分の中へ溶けるように入ってくる。
熱を帯び始めるのはそう遅くなかった。自分でどうなるのか分かっているから余計耐えられなくて、意識ばかりするせいでどんどん内側から熱が広がっていく。
「やだ…あっ…こんな、とこ…」
「ねえ、隣にクラスメイトいるの忘れてないよね?」
忘れているわけではなかったけれど、もう意識している暇がなかった。声を抑えているつもりでも勝手に口からこぼれ出てしまう。
ついに床に転がり蹲って体の疼きを押さえつけるように自身を抱きしめた。
「んっ…んん…なか…どうにか、しろ」
「中ってなんの?」
「…ぜん、ぶ…もう、好きにして…い、から」
「勇也がどうして欲しいかでしょ?これ使いたい?」
見せられたのはまた細い棒で、さっきのものとは違い複数の突起がある。あんなものを尿道に入れられたら気がおかしくなるのは分かっていたが、痒くてどうしようもなくて、何もしない方が辛く思えてきてしまった。
「つかう、はやく…なんでもいい」
「そんな焦らないで、ゆっくり入れてあげるから」
「あぁっ!あ、あ…っいきなり、抜かなっ…あ」
「まだ出しちゃダメだよ、床にこぼさないでね」
最初に入っていたステンレス製のものが一気に引き抜かれ、反射的に捩らせた体を抑え込まれてまた中に違うものが入ってくる。その表面の凹凸が中を抉ることで痒みが軽減されるような気がして、自ら腰を動かしてしまった。
「あっ…あ、はやく…」
「じっとして、危ないから」
棒が中で掻き混ざるように動いて突起が擦れる。声にならない叫びをあげ、ハルにしがみつきながらあまりに強烈すぎる快感に悶えた。
「あっ、だめ、あぁっ…んっいく、いく、やだ…っ」
「イッたら終わりにしよっか?」
「そん…な、やっ…あんっ」
中から前立腺を責められ、今にも絶頂を迎えそうなのに射精することは出来ない。おまけに自分の中が燃えるように熱く、今すぐにハルを飲み込んでしまいたかった。
「…れ、ろ…はやく…お前の」
「ん、もうイキそ?」
「あっ…ちが、はやく…中、いれろ…お前の…んっ」
「入れるだけでいいの?」
こんな時まで意地悪くそう言って微笑む。羞恥で唇を噛み締め、力の入らない目で睨みつけながらまた口を開いた。
「なか、擦って…いき、たい」
「よく出来ました」
そう言うとハルは俺の腰を掴んで自身のものを後ろに宛がう。
一度落ち着くために呼吸をしようと息を吸い込むと、そんなの待つことなくハルが奥まで入ってきた。
「あぁっ!あ、あ、やっ…あぁっ」
「静かにしないとダメでしょ?ほら我慢」
「あっ、んんっ…ん、むり、むり…あぁっん…んう」
ハルが動く度に疼きが治まってはまた快感に変わり、それがずっと繰り返される。
ホテルの床の上で、隣に人がいるのに、こんな恥ずかしい体勢で変な器具をいれられて、後ろから突かれてよがっている。
全部恥ずかしいはずなのにその羞恥さえゾクゾクするような快感に書き換えられてしまう。
止めたい。もうこんな恥ずかしいことしたくないはずなのに止めさせてくれない。止められない。
「中のこれ、抜いて欲しい?」
「あっ…あ、ん…」
口を開けば漏れるのは嬌声のみで意思表示が出来ず、ただひたすら首を縦に振った。
「じゃあ抜くよ」
「まっ…て、いきなりは、あ、あっや、あぁっ!」
それが引き抜かれた瞬間さっきまでせき止められていた精が全て吐き出された。その気持ちよさと同時に恥ずかしさはピークに達する。
「漏らしてるみたい。そんな気持ちいいの?」
「や、あ…止まんな…」
「床、汚れちゃったね?」
「お前のせい…んっ!いきなり、おく…やだ、あっ」
汚してしまった床をどうしようと考えようにもそんな暇は与えられず、腰を引き寄せられまた後ろから激しく中を擦られる。
だらしなく開いた口から恥ずかしい声はだだ漏れで、胸元をまさぐるハルの手も止めようとはしなかった。
「あっ、あ、あ…っいく、も、むり…」
「じゃあイッたらもうやめにする?どうしたい?」
またそんなことを言って俺を困らせる。決してノーマルなプレイとは言えないのに、しっかり自分は感じてしまっているから今は何も言えない。
ただ、こうしてハルに抱かれるのが好きになってしまったのは確かだ。全部ハルのせいだ。
「はる…あっ…んん…はる」
「ん?どうしたい?」
「やっぱり…すき、だ…お前が」
なんの考えもなしにそんなことを言ってしまったが、今の恥ずかしさの中ではなんてこと無かったのかもしれない。
急に静かになったハルは無言で腰を引いて中からいなくなる。
「はる…?」
「分かっててやってるの?そうじゃなくても怖いな」
また無言になったと思ったら今度は正面からハルが入ってきてそのまま抱きしめられた。
自然と唇を重ね合わせて、何度も中で達する。ハルも息を荒げながら、俺の中で果てた。
自分たち二人のこと以外何も考えていなかったけれど、確かにこの時間は幸福だった。
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