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第13話Hidden②
突然性器を見せつけられ、挙句の果てにはそれをを〝舐めろ〟と言われた。そんなものAVでしかしないものだと思っていたし、なにより男のものを口に含むなんてゾッとする。
「きたねぇもん見せんじゃねぇ…誰が舐めたりなんか…!!」
「え〜もうこんなになってるのにそれは酷いでしょ。自分はあんなに気持ちよくなって出しておきながらさぁ。あれだけ乱れてたのに強気に出れるのもすごいね。双木くんだって下はいてないでしょ?」
「っ…それはてめぇが…っ!!」
声が掠れてうまくでない。強い酒を飲んであれだけ嬌声をあげれば、喉を痛めるのは当たり前だった。これ以上の口論は自分を苦しめるだけだ。
「ん〜あんまりこういうことしたくないんだけど…」
なんのことかは分からないが、そう独り言のように呟くと胸ポケットに入れているスマホを取り出す。
「…これさ、ずっと胸ポケットにいれてたの。今の今まで。どういうことがわかる?勘のいい君ならわかるよね、双木くん」
「は……?なに、が………っっ!!まさか、てめぇ…!」
全身からサーっと血の気が引いていく。
次にくる言葉が予想できてしまったのだ。この予想が外れてくれたらどんなにいい事だろう。
「ずっと録画してたよ。どう?よく撮れてるっしょ。」
そう言ってスマホの画面をこちらに見せてくる。
そこには、女のような喘ぎ声をあげながらいやらしく身をよじる自分の姿がはっきりと映っていた。
「……いやだ…そんな…うそだろ…?」
「嘘じゃないよ。いい子のきみならわかるよね?今俺に逆らっても何もいいことないんだよ」
頭が真っ白になってしまう。そうだ、こいつがなんの脅しのネタもなく好き勝手するはずがない。
この動画が…出回ったらどうなる?
もう外は歩けなくなる。学校にも行かないだろう。前まではそれでいいと思っていたのに、これをばら撒かれてしまったら…死んだ後でさえ映像として残っていくのだ。そんなことでは死んでも死にきれない。
終わった。ただそう思った。
「喋らなくなっちゃったね?でもね、双木くん。俺の言うこと聞いてくれればこの動画はちゃあんと消すし、誰にも見せたりしない。…もう分かったよね?」
再び小笠原のものがこちらに向けられ、唇に押し当てられる。それだけでも耐えられなかったが、今は動くことも考えられなかった。
ただ呆然として、悔しさも怒りも、羞恥も全てがごちゃごちゃになって目から涙が零れた。
母親が亡くなった時でさえ出なかった涙が、今日こいつに自分の人生を狂わされそうになって勝手に流れてくる。顔を下に向けると、それに気づいた小笠原が問いかけてくる。
「あれ、また泣いてるの?綺麗に泣くね。もっと噦いたりしてもいいんだけど。」
「どうして…こんな…」
「なに?どうしたの?」
「何でこんなこと…するんだよ…っ俺を貶めたいなら、方法はいくらでもあっただろ…」
小笠原は権力、財力、喧嘩の腕、舎弟の数が圧倒的だった。勢力が解散した俺には、勝ち目など元々なかったんだ。それなのにわざわざこの方法をとったのはどうしてなのか。これならまだ半殺しにされるか本当に殺されるかの方が楽だ。本気で俺を潰そうとしているのか、俺がそんなに気に入らないか。分からない。何も。
「ん〜まぁ、俺がやりたかったからだよね。めんどくさいからまたあとで説明するけど、誰でも良かったわけじゃないよ。双木くんが良かったんだ。そのために準備も…長くなるからこれでいいか」
「もう…いやだ…殺してくれよ」
「え?嫌だよ。俺はね、双木くんが生き恥を晒してるところを見たいの。もちろん他の双木くんも見たいけどね?死んで楽になろうだなんて甘いよ、ちゃんと地獄を味わってさ、苦痛に顔を歪めて…死んだ方がマシだと思えるくらいに屈辱を味わってほしいの」
「っ…!どうして、そこまで…ふざけるなよ!!」
「好きだからだよ。」
「は…?」
予想だにしていなかったその言葉に、間の抜けた声が出てしまう。好き?こいつが?俺を?またおかしな冗談なのか、何かの比喩なのか。それなら何故こんなことをする?
「あ、勿論この好きにはいろんな意味が含まれてるけど。とりあえず今は双木くんに絶望してもらって、これをどうにかして欲しいわけ。さっきから双木くんが泣くからさ…余計興奮してきちゃった。我慢できないよ、これ以上」
この男は、本当にどうにかしている
好きだと言ったかと思えば、人の涙に興奮を覚えてそれをいきり立たせる。淡々と話しているが、内容はとても普通の人間が考え得るものとは思えなかった。
「なっ…ちゃんと話せよ…!」
「説明は後だよ。もっと泣いてもいいけど、動画流されたくなかったら大人しくおしゃぶりしてね…俺、気短いから。ほら、入れるから口開けろよ」
「そんなっ…んっ…んぐっ…!!」
無理矢理手で口を開かれ、男臭く、グロテスクで大きなそれが口内を満たす。
気持ち悪くて離れたいのにどうにも出来ない。
「あっ…やば…口ん中って温かいんだね…俺もそんな持ちそうにないかも…っ。歯ぁ立てたら、動画ばら撒くから…ね?」
喧嘩の時ですら感じたことのない恐怖に、腰の力が抜けそうになった。男のそれが口の中をかき回してくる。悲鳴はくぐもって吸収されていく。
「んっ…ぐっ…んん!!」
「今度ちゃんと上手なやり方練習させてあげるけど、今はちょっと、俺が動かすからね…」
そして、俺の後頭部をガッと掴み、自身の腰を奥の方へと突き上げた。
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