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第14話Hidden③

急に、喉の奥をそれが突いてくる。 その衝撃でよりいっそう苦しさが増す。 えずきそうになっても、それすら塞がれてしまう。 苦しさと自分の無力さに、今度は涙がとめどなく流れてくる。違う、自分はこんなに弱い人間ではない。誰かに負かされたりしないはずだ。 「んっ…!!ん゛ぅ…!!ぐっ…!」 「ああっ…また泣いちゃって…いいよ、その顔だよ…もっと見せて…もっと苦しんで!」 後頭部を掴んだまま、俺の頭ごと前後させ、その度に喉の奥を小笠原のものが突いてくる。 小笠原は、頬を伝う涙を指ですくって味見をするように舐めた。 苦しいはずなのに、死にたいと思ってしまうほどなのに、その自分の口内に充満したその匂いと苦しさで、頭がぼうっとしてきた。 そうだ。酒を飲まされてしまったから、判断力が鈍ったのだ。強い酒をのまされているのなら仕方が無いことだ。ただそう思い込む。 「んん…んっ…ん…」 「うっ……いいね…喉、しまってきて、気持ちいいよ…もっと泣いて…」 段々と頭を動かす手が早くなる。その分苦しさももちろん増し、涙がまだ止まらない。 小笠原はさっきよりも息が荒くなってきて、表情も辛そうだった。 「あっ…双木くん…もう、出すかも…やばいどうしよ…っ」 〝出す〟と聞いて気が気ではない。どこに出されたって嫌に決まっている。 首を振ろうとするがしっかり掴まれているため逃れられない。手と腰の動きはよりいっそう早くなったような気もする。 「…っ双木くんっ…ごめん、やばい、もう出すから…!双木くんの綺麗な顔にぶっかけるのも楽しそうだけど…今は…全部残らず飲んでね…っ!」 「ん゛ん!!!んっ、んん!!」 ラストパートとでもいいたげに動きを早めると、腰が震え、口の中いっぱいに苦みが充満する。吐き出したかったが、飲めと言われて断る理由を今の俺は持っていなかった。ずるりと口の中からそれが引き抜かれると、口からいやらしい糸を引いた。 「ごめんね…?我慢してたから、余裕なくて…ふふ、ちゃんと、飲んでね。」 「うっ…ん…」 少しずつ、ゴクリと飲んでいく。 喉に粘り気のあるそれがひっかかって不快感を覚える。まだ口内を犯されている気分だ。 小笠原は、悠長に下着とズボンを履き直していた。 「全部飲めたね…偉い。いい子」 「っ…くそ…」 ふわりと頭を撫でてくる。さっきまで酷くされていたからか、その行為をやけに優しく感じてしまい、どこかが苦しいような気がした。 男のものを口に含んで、無理矢理口内を犯される。そして吐き出された精を飲み込まなければならない。こんな屈辱が、他にあるだろうか。 すると小笠原は、急にピタリと動きを止めた。その目は、下の方を捉えて止まっている。 何があったのかと、つられて下を見ると目を疑うようなことが起きていた。 今、無理矢理男のを咥えさせられたというのに 一度責められて萎えたはずの俺のものが、再び芯を持って上を向き始めていた。 一度静止した小笠原は、口角を僅かにあげる。 「へぇ…双木くん、イラマチオさせられて興奮しちゃったんだ?」 「そんな…わけ…」 本当に無意識だった。どこも気持ちよくなんかなかったし、ただ不快なだけだったというのに。 それでも体はこんな反応を示してしまっている。 「じゃあ、触ってもないのに、男のちんこ口に入れてるだけで勃つんだ。どちらにせよド変態だよね?俺の事言えないね?」 「っそれはちがっ…!」 「何がちげえんだよ」 また急に冷たい目になった。どこか楽しんでいるようにも見える。靴裏でそこを踏みつけられ、グリグリといじられると思わず声が漏れる。 「あっ…!急に、やめ、いやっ…!」 「やらしい声…変態じゃなかったらさ、ここ踏まれてそんなふうにならないから。」 「でも…んっ…酒、のませ」 「へぇ、飲まないでやるならいいんだ?」 「…ちがっ、あっ、ちが、う…んっ」 もどかしい刺激を与えられると、思わず身をよじり、快感を求めるように腰をくねらせてしまう。自分でもわかっているのに、体は勝手にそうなってしまった。 「あ、完全に勃っちゃったね…淫乱だね」 「やっ…ちが…も、やめ…んんっ」 膝立ちを保っていたものの、腰が引けて震えてしまう。半勃ちだったそれは、完全に硬くなっていた。〝淫乱〟という言葉に体がビクッとはねて反応する。 「顔だけじゃなくて、体も女の子みたいになっちゃったのかな…ここもいじってあげなきゃね」 乳首をきゅっと強い力で抓られ、体がこわばる。 「い、たっ…!やめろっ…あっ」 「すぐ硬くなったね。いじって欲しいって言ってるみたい」 そういうと、一度手を離し、俺の後ろへと回った。何をするのかと振り返ると、そのまま後ろから抱きつくような形で覆いかぶさって唇を重ねてきた。 ゆっくりと押し倒され、手は後ろに縛られたまま、上半身は床に、下半身は突き出すように上げたままだった。屈辱的な体制から抜け出そうとするが、腹を支えられてしまい小笠原の下半身と密着してしまう形になった。 「おまえっ…なんで、また硬くなって…」 「双木くんだってすぐおっ勃ててたでしょ。ていうか、こんなに誘われたら無理もなくない?」 「誰が誘って…っん、あ、そこ、やめっ」 再び後ろから乳首を責め始めた。爪でカリカリと引っ掻くような刺激がもどかかしい。 「ほら、そんなにいやらしい声出して…誘ったのはそっちだよ、双木くん。」 耳元でそう囁き、硬くなったそれをズボン越しに俺の尻へと擦り付けてくる。耳元に息がかかりビクッと反応すると、それを察したのか耳を舐め始めた。 「っ!あ…っや…耳、なんでっ…」 「ここも弱いんだ。よくこんなんで不良やってられたね?」 耳を執拗に舐めながら、爪だけで与えていた乳首への刺激を、また抓るものに変えてきた。 「いっ!いたっあ…んっ…!」 「痛いのも、ちょっと好きでしょ」 そんなはずはなかったが、抓られると確かな刺激が伝わり、じんじんと熱くなるような不思議な感覚があった。 またそれを押しつぶすように捏ねられれば、嬌声が漏れ出す。 「あぁっ…!も、いや…だっあっ」 「下にも刺激が欲しいのかな?さっきからずっと腰振ってるけど」 言われると、無意識で腰を振っていたことに気づき顔が熱くなる。しかし、止めようにも止まらない。まるで、自分から尻を小笠原の股間へと擦り付けているようだった。 「じゃあ…次はコッチで気持ちよくなろっか」 すうっと指を腰に這わせたかと思うと、尻まで滑らせて、その穴へあてがった。 その言葉の意味を理解し、恐怖と不安で体が強ばってしまった。

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