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第15話Hidden④
「まっ…て、そこはっ」
「待たないよ、約束でしょ?」
「そんな約束…っしてねぇ」
「動画」
動画のことを言われたら何も言い返せない。拒否権など俺にはなかった。
「そんな…きたねぇ…から」
「そんなこと気にしてたの?大丈夫だよ、双木くんは綺麗だって。まぁでも、他人の穴触るのに洗えないのはきついね。今度からはちゃんと俺が洗ってあげるからね〜。いまはこれで我慢して。」
すると、除菌シートのようなものをとりだした。
こいつのポケットには一体どれだけのものが入っているのか。というか、〝今度からは〟という言葉に若干の恐怖を覚える。
「ま、さか…それで…?」
「大丈夫大丈夫、赤ちゃん用のおしり拭くやつだし。保健室になんかあったんだよね。」
何が大丈夫なのかわからないし、なにより余計に屈辱的だ。そんなもので…他人に中を掃除されるなど耐えられない。
「自分で…やる、から」
「んー、それも面白そうだけど、俺がやった方が双木くん嫌がるだろうから俺がやるね。」
「はっ?なんで…っあっ!」
急に尻に冷たいものがかかった。
どうやらそれは、酒の小瓶と一緒に取り出していたボトルで、中身はローションのようだった。
「動くとやりづらいから、じっとしててね。気持ちよくて動いちゃうなら仕方ないけど」
絶対に動くものか。しかし、この中に何かを入れるなんて絶対に嫌だ。そこだけは死守したいがこいつが聞き入れるはずもないだろう。
こいつはとにかく、俺が嫌がることは全てやるつもりだ。
ローションが穴のところまで垂れてくると、今度はシートを纏った指で、ゆっくりと周りをなぞられた。思わず小さな悲鳴をあげる。
「ひっ…」
「うまく綺麗に出来るかわからないけど、痛いの嫌なら力抜いててね。」
そんなことを言われても、普段排泄にしか使わないそこに他人の指が入ると思うと、どうしても力んで体が強ばってしまう。
穴に少しずつ、シートに包まれた指にローションが絡んだものが入り込もうとしているのがわかる。歯を食いしばって耐えようとする。
「…力、抜くの難しい?」
頷くと、またさっきと同じように乳首を刺激された。
「あっやっ…ぁ…ん」
「うん、いい感じに力抜けたね」
するといきなり穴の中にずぶずぶと指が入り込んでくる。その異物感にまた声を上げた。
「いっ…!いてぇ…っあ、やだ…やめろ…!」
「もうちょっと奥まで拭いたらシートは外すから。」
更に指が奥まで入り込んでくる。違和感だけが強く残り、無造作に中を掃除される。
それが終わったのか、すこしするとずるっと指を引き抜いた。
「っあ…!急に、抜くなよ…っ!!」
「そんなの俺の自由だし。…よし、これで大丈夫かな。」
そう言ってこれまたどこから出したのか、ビニール袋にシートを入れて口を結んだ。
そしてまたローションを手に取り、たっぷりつけてその入口に宛てがう。
「気持ちよかったらちゃんと言ってね、今のうちに探しておくから」
「や…むり、あ…っいたっ」
力んでしまったそこに無理矢理指をねじ込んでくる。ローションがついているので、一度中に入ってしまえばあとは簡単に進んでいく。
小笠原は、指を色々な角度に動かして探るようにかき回す。気持ちいいも何も、ただただ異物感が気持ち悪いだけだった。普通の男なのだから当たり前だ。ここで感じてしまったら何も言い訳ができない。
「ここのあたりかな…」
「うっ…くっ…」
「…じゃあこっち?」
ある一点を指の腹で押すように刺激されると、まるで体に電撃が走ったように快感が流れ込んできて今までよりも大きく体が跳ねる。
「っ…あぁっ!!」
「…当たり。わかりやすいね。」
「やっあっ…むり…あ、そこ…やめ…!」
「無理じゃないでしょ、気持ちいいんでしょ?」
さっきのところで指をクッと曲げて、擦りあげていく。ほかは何ともなかったのに、そこを刺激されるとどうしようもなく気持ちいいと感じてしまう。ここで感じてはダメだとわかっていても、体は反応してしまう。唇を噛み締めて、とにかく声が出ないように努めた。
「ん…んっ…んぅ…!」
「さっきまでお構い無しに喘いでたのに何我慢してるの?そんなに気持ちいい?あぁでも、6限もう始まってるだろうし、あんまりうるさくできないね。」
そういうと、顔にもう片方の手が伸びてきて、閉じていた唇を割って指が侵入してきた。口を開くのを催促するかのように口内をかき回す。一度口を開けてしまうと、せき止められていた声は躊躇なく漏れていった。そして、穴に入れる指を1本から2本へ増やす。
「…い、あっ、やっ…ん…あっあぁ!」
「入れるときはちょっと痛いかもね…でもここ、気持ちよくなったでしょ。…ちゃんと声、聞かせてね?」
今更声が恥ずかしいなど言っていられないが、自分の声ではないような嬌声はこいつに聞かれたくない。口の中から指が抜かれると、だらしなく開いた口から唾液が垂れてしまう。
2本の指でさっきのところをしつこく刺激してくる。小笠原の指は長く、ゴツゴツしていない綺麗な指だったが、弄ぶように巧みに指を動かし快感を誘った。ぐちゅぐちゅといやらしいローションの水音が自分にまで聞こえてきて、体が熱くなる。
「あっあぁ…っ!ん、あっ、だめ、やぁっ…んっ!」
「ダメじゃないよ、いいんだよね?」
「そんっな、あっ…あっ…むり、抜け、よっ」
本当に今やめてくれないとどうにかなりそうだった。このまま快感に身を委ねてはダメだ、そう思っていると急に指を抜かれて、一瞬安堵した、そのときだった…
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