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第16話Hidden⑤

今度はそこへピタリと何か違うものがあてがわれる。いや、何かというよりは、どう考えてもアレしかないのだが。本当にそれだけは嫌だ。自分の中の何かが壊れてしまいそうな気がする。 身をよじり嫌だという意思表示をしようとするが、この体制ではただ尻を振っているかのようになってしまうのを、自分ではわかっていなかった。 「…っどうしてそんなに誘うような動きばかりするかなぁ…」 「ちが、…誘ってねぇ…もう、何でもする。何でもするから…これだけは…嫌だ…」 「嫌だって…今まで何十人と喧嘩してきてあれだけ恐れられてたのに?俺一人にこうやってされるだけで耐えられないんだ。あ〜あ、昔の仲間たちはどう思うかな?でもね、なんでもするって言うのは違うと思うよ」 「は…?」 「なんでもするじゃなくて、これから双木くんは俺がしろって言ったことなんでもやるの。立場わかってる?」 「なんで…俺がそんなことっ…!」 後ろを睨みつけると、何故か嬉しそうな顔をして、上から頭をつかみ俺の顔を地面にぐりぐりと押し付ける。 「そんなイイ表情ばっかしないでよ…最っ高だね。ゾクゾクするよ、俺。とにかく動画が俺の手元にある以上きみは逆らえないし、俺に指図できない。いいね?」 「くっそ…どうして、こんな…!」 「…まだ、入れて欲しくない?」 そう聞かれたから、素直に頷いてしまう。 「じゃあ、もうちょっと指でいじめてほしいの?」 「は、違…っ」 「そう簡単にプライドなくされても困るけど…俺はさ、双木くんのプライドがズッタズタになって、恥ずかしい目にあってくれればいいと思ってるよ。羞恥で何も出来なくて、あの双木くんが俺の前で快感に溺れて乱れる…夢みたいだよね。だからさ、君が嫌がったって、それが俺の行動を止める理由にはならないんだよ」 またこの目だ。笑っているけど冷たくて、正気ではない。すると、小笠原は何故か俺の手の拘束を解き始めた。まさか、逃がしてくれるのか?いや、そんなに甘いはずがない。 「なんで…腕…」 「ん?いや、体勢きついかなと思って。」 たしかにこの屈辱的な格好は、筋力的にも辛かった。麻紐がついていた手首は、両手とも痛々しい色に変色している。取った麻紐は、その変に投げ捨てる。 「はい、これで双木くんはいつでも逃げられるね。逃げられるなら…だけどね。」 そう呟くと、体を屋上の柵に打ち付けられる。わずかな痛みが走り、5階から見下ろす景色に少し血の気が引いた。 「いっ、てぇ…なにすんだ、」 「さっきまではしゃがんでたし、あっちからは見えない方にいたけど…ほら、ここからだとあそこの教室見えるでしょ?」 目をやると、確かに今いる校舎の棟とは反対側の棟の教室で、授業をしているのが見える。 つまり、あちらからも見ようと思えば屋上の上で何をしているかがわかるということだ。小学生の頃、屋上で作業をしている人達を見つけるたびに教室が盛り上がり、授業が中断されたのを思い出す。 「待っ…て…なんで…いやだ…つ」 「もし見えちゃったら、その時はその時だね。ほら、じゃあ柵を手すり代わりにちゃんと握ってね。」 そう優しく言うと、俺の手の上に手を重ねるようにして柵を掴ませる。 そして、恐怖で体が震える中、再び後ろにそれがあてがわれる。 「じゃあ、いれるよ…」 そう耳元で囁くと、恐らくローションですこし濡らしたのであろう小笠原の大きなそれが少しずつゆっくりと中へと侵入してきた。 「う゛っ…あ、あ…いた、いてぇっ…くそ…」 「っ…きっつ…ごめんね、やっぱりもう少し慣らすべきだったかな…」 指の時とは比べ物にならないくらい痛かった。くぐもったうめき声が出るが、それに構わず小笠原はどんどん中へと入ってくる。 ついにやってしまった。この男と、最悪な男と繋がってしまた。 そして、相変わらずここから教室は丸見えだった。意識をそらそうにもどうにもならないし、逃げようと柵から手を離すと、腰をぐっとつかまれて中に入っていたものをさらに奥へと突き上げられた。思わずまた柵を強く握ってしまう。 「っ!あっ…いっ…!」 「まだ痛いか…ゆっくりやるから、双木くんは俺の形をお尻でちゃんと覚えてね」 そんな気持ちの悪いセリフを耳元で囁かれ、耳が熱くなる。 いちいちその状況を説明されるとこの上なく恥ずかしく、惨めな気持ちになった。 「ほら、ちゃんと奥まで入った。繋がってるの見えないか、バックだもんね…立ちバックって、無理矢理やってるみたいで良いよね。でも、双木くんの顔が見えないのが残念」 みたいじゃなくて無理矢理やっているだろというつっこみはできない。 そして小笠原は、奥までそれをいれたまま、動かさずに後ろから俺のものを掴み、ゆるゆると扱き始めた。急に来た快感に、思わず小笠原の手を抑える。 「なに?止めようとしてるの?無駄だよね…ふふ、ほら、繋がってるから体もこんなに密着できるんだよ」 そういって後ろから抱きしめてくるが、それよりも前の刺激と後ろに入った男のものの痛みが大きくて、それを気にしていられなかった。 「んっ…ふ…ん、んんっ」 こんどは、小笠原の手を止めようとした俺の手の上に、先程まで俺が抑えていたはずの小笠原の手が再び俺の手を抑えて、俺の手もいっしょに俺のそれを扱く。自分の手も加わっているから余計に屈辱的だ。しかも上から抑えられているからその手も逃れることが出来ない。 「あっ…やめ…おさえんな…はな、せ…あっ!」 「どうして?気持ちいいのにやめる理由がないでしょ。双木くんだって気持ちいいから可愛い声も先走りもでてきちゃうんでしょ?」 「言う、な…っあっ!」 すると、手を止めずに、そのまま腰をまたゆっくり動かし始めた。中で何かが蠢いているのがわかる。そのまま少しずつスピードをあげて、奥についたり一度引いたりと緩急を付け始めた。 「っ…気持ちいいよ、双木君の中…てか、さっきから声我慢してるの?もっと、聞かせて…」 「あっ…う…うごく、な…っあぁっ!」 小笠原は、一度俺のものを握っていた手を離し、俺の手をまた柵まで持っていくと、両手で俺の腰を掴んだ。俺はただただ痛みだけでなくなってきてしまったこの異物感を拭うように柵を掴む手に力を込める。今までよりもずっと声には注意して、ひたすら誰も見ないでくれと願った。 もし、誰かが気づいてしまったら。そう思った時、なぜかゾクッとした感覚があった。 「っ…そろそろ、双木くんもなれてきたかな…じゃあ、双木くんのいいところ、突いてあげるから」 そう言ったかと思うと、指を入れた時に感じてしまったあの場所を、小笠原のそれで擦りあげるように刺激された。あまりの快感の強さに目がチカチカする。我慢していたはずの声もだだ漏れになっていた。 「あっ!!あんっ…あ、やぁっ、そこ、だめ、あ、も、やめっむり!やだ、いやだ!」 頭を振りながら快感に耐える。さっきまでの比じゃない。ただただ気持ちいい。それの先端からは先走りがぽたぽたと垂れ始めた。誰かにこんな姿を見られたら死ねる。そんなことを思いながらも快感を消すことは出来なかった。 「っ!今までで、一番可愛い声だね…好きだよ、双木くんっ…」 「あっあぁっやだ、見られ、ちゃ、んっ!」 「誰も見てないよ…今は、ね。スリルを楽しもう」 そんなこと出来るはずない。そもそも、快感のせいで教室の中などもうまともに見えていなかったのだが。 このまま責め続けられるのは、俺の理性と自尊心を壊していくのと同じだった。 このままでは、本当に、俺はー

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